いまたまたまテレビをつけたらEテレで落語を映像化する、みたいな番組がやっていたんだけど、その映像がわずらわしくてわずらわしくて。
演目は『二番煎じ』だった。噺を聴いてりゃ映像なんて勝手に頭のなかに浮かぶのに(そりゃ、いちばんはじめは無理があるかもしれないが、何度かやっているうちに慣れる)、それをご親切に、というか、バカ丁寧に、というか、噺家のしゃべりに同期させた役者たちの口パク映像を見せられてげんなり。
落語初心者向けの企画(?)みたいなものなのかもしれないけれど、企画したやつ、視聴者をバカにしてつくったんだろうなと思った。ただの小説だと読んでもらえないからマンガ化する/アニメ化する、みたいなノリを落語でもやればいいじゃんっていう発想なんだろうけれど、落語でいちばん採っちゃあいけない方法論なのに。

おしまいにナビゲイターっぽい役柄として濱田岳が出てきて、「ああ、それっぽいそれっぽい」と乾いた笑いが起こる。
その番組とは異なるが、それっぽい半可な人間に落語をさせたりして、意外とうまいね、なんつったりして、その気にさせたりその気になったり、そういうのをいくつか見たことがある。
落研でした、はいいけれど、でも現役じゃないんでしょ、というツッコミは野暮なのかねえ。伊集院なにがしが落語番組の案内人をやっているのをちらと耳にしたときがあったが、こちらが恥ずかしくなった。入門したのかもしれないけれど、つづけていないわけだからねえ。
素人落語のくせに商売となるといっぱしのプロみたいな木戸銭をとるって場合もあるが、初心者にちょっと毛の生えた程度の僕としてはどうしても許せず、ここらへんのことをいっとき鶴光もかなり批判していて大いに意を強くしたものだ。
素人が歌舞伎の真似事をやりゃあそれらは全部ギャグになるっていうのに、落語だとなぜかマジに演ってしまう。けれどももちろん、そりゃ上手いわけがないし、だいいち分を超えているでしょ。それとも、観ているほうも素人だからどうせわかるめぇって算段なの?

初心者向けって、映像化するとか、誰か有名な役者に落語の真似事をさせるとか、そういうことなのかな。僕は原理主義者じゃないけれど、まずオリジナルに当たらずに、なにをもって初心者向けというのか。
なお、今後の映像化される元ネタのラインナップとしてたい平の『不動坊』とか鯉昇の『ちりとてちん』なんかが挙がっていて、そのものがいちばんいいのに! そのものを流せよ! と激しく思った。ああ、もったいねえ。