……はちょっと書けないな。どう感じたか、を書いてしまうだけで、未読の人にバイアスを与えてしまうような気がするし、それってひとつのネタバレでしょって思っちゃうから。
ただ、グロい。
猟奇的描写の背景として、あの宮崎勤事件(1989年)が小説中に実名で出てくるのだが、いやちょっと古いよなあ……と奥付を見たら1992年の作品らしい。いやー四半世紀以上前かあ。そりゃあ登場する歌手が岡村孝子なわけだよ、と納得。
それにしても、僕がグロ描写にそれほど衝撃を受けなかったのは、四半世紀前に較べていろいろな表現が過激化していったことも理由としてあるのではないか。最近日本でもヒットしたピエール・ルメートル作品もかなりグロかったし、たぶん国内でもグロを得意とする作家なんているんじゃないかと思う(僕自身はそういう表現は好きではないので、もしそうだとわかったら読まない)。
あと、講談社文庫版の笠井潔の解説も併読するとより理解が深まるだろうと思う。ただし、必ず読了後にすべきだ。

綾辻作品なんかでも感じたことなんだけれど、小説そのものが非常によくできた箱庭という感じで、感心するくらいに細部にまで手入れがなされている。
その反面、なーんか感動がないのよねえ、という贅沢な不満も残る。小説そのものへの感動はもちろんあるし、本作品は傑作だとは思うものの、率直に言って「ちょっと泣けちゃうよな」、そういうエピソードなんかはないことが多い気がする。そういうのがあったらなあ……。

あと、こういう小説を、「○○な小説ベスト10」みたいなランキングで知るのではなく、本屋でたまたま手にとって購入→読む、みたいな流れが読者にとっていちばん幸福だと思う。
そういう意味では僕も非常に幸福な出逢いができたので、まだ読んでいない人の幸福まで奪わないように、ここらへんで擱筆しておく。