とはいえ、わからないでもない

2018年03月

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副題が「メルカトル鮎最後の事件」となっているが、れっきとしたデビュー作。じゃあなんで「最後の事件」なんだっていうツッコミは当然起こるし、また、そもそもメルカトル鮎っていうネーミングがなあ、っていうツッコミも。
こういう隙をあえて見せてくるタイプはたいてい手強く、実際、まあいろいろと衒学的な記述が出てくるのだが、しかし僕みたいに質の悪い読者ともなれば、「どうせこんな情報、殺人やトリックと関係ないんでしょ」とはじめから高をくくってしまい、ほとんどを本気にとらないために、書き手の熱意以外はあまり伝わらなかった。それは、執筆当時、若干21歳で現役大学生だった作者に相当失礼な部分もあったと思うのだが。

かつて読んだ『隻眼の少女』のように、本作も最後らへんで話がやたらとひっくり返る。ただ、かなり技巧的というかあざとい部分があるので、ひっくり返される快感および驚きがほとんどなかった。というか、警察が出入りするなか10人ほどが殺されているという状況を、まず飲み込むことはできなかったし、「もう誰が犯人でもいいし、誰が謎解きしてもいいよ」って感じだった。これは、僕のミステリ読みとしての熟度不足のせいか、はたまた、作者の描いたキャラクターの魅力不足のせいか、どっちのせいだろう。
けっきょくこの作品についても、悪い意味での箱庭的感覚と、僕自身のミステリへの適応能力不足とが味わわれ、いまさらながら「なんかミステリが性に合っていないのかも」とちょっと自信をなくしてしまうほど。作者の労苦はよくよくわかっているつもりなのだが……たのしくないんだよねえ。

まあ、かなり当たりが少ないってことを実感しているため、しばらく麻耶作品は読まなくてもいいかな。

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たしか先週の金曜に佐川の辞職騒ぎがあって、「ああ、やっぱり金曜にするんだなあ」と思っていたら、すぐあとに読売と、日曜あたりにNHKが世論調査(こっちは確実に3/9~3/11が調査期間だったことを記憶している)の結果を出していて、なんで月曜以降(もっといえば火曜以降)にしないのかなあ、と思ったことを憶えている。土日のニュースにかじりつく、というよりはウィークデイにニュースを確認する、という人のほうが相対的に多いだろうに。
ネットの低脳連中が口汚くマスゴミと罵る対象に、フジもNHKも含まれていたりするが、これがふしぎ。いや、ここらへんはけっこういいアシストしているほうでしょ、むしろっていうね。
とにかく、上記NHKの調査で、「支持する」がまだ48%もいて、その半数近くが「ほかにいないから」をその理由として挙げていた。たぶんこれらの人たち(世の25%の人たち)は、他の候補者たちを綿密にリストアップ&チェックした挙げ句、「いやあ、やっぱり安倍さんしかいないなあ」という結論を得ているのだろう。いや、立派立派。僕のようにまったく怠惰でニュースにも疎く、性悪説を採っているという低能人間からすれば、いまの政権が一年間やってきた国会での振る舞いは、低劣で下劣で卑劣なものとしか見ることができなかったが、それは僕の「節穴」から見るごく狭い世界の話であって、世の炯眼の持ち主たちは、いろいろと見比べた結果、内閣が、ひいては与党が間違ったことを言うわけがないと確信しておられるわけだ。その眼力および寛大な心につくづく感服するわけだが、考えてみればそれくらいの寛容な精神を持っていなければ、7キロの窓や30キロのドアを落とす米軍ヘリを簡単に赦すことはできまいて。ただ一点だけ不思議なのが、それだけモノを落としている連中をいともたやすく見逃すのに、とりあえずはまだ一度も落としていないどこかのミサイルだけは異様におそれて周りに警戒を促すところ。南北の接触および米朝会談(実現するかどうか不透明だけれど)の報に接してこれまた僕なんかは、ほうれやっぱり蚊帳の外じゃんかと早計に思ってしまったのだが、世のご勉強なさっている方々は「ニッポンの強い立場」をいまだ強く信じておられ、「北」に対してなにかできるとこれまたいまだに強く信じておられるのだろう。この力強い忍耐力にも感心する次第である。
なお、「人が死んでるんだぞ」で進ませる議論はあまりよくないと思う。品がないとかそういうことではなく、いつ逆手にとられるかわからない手法だから、という点で。

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今回、意図的にほとんど観なかった五輪関係のニュースだが、ああいう盛り上がりがあると必ず裏で、というか国会で、なにがおこなわれているのかということが報道されなくなってしまう。たまたまNHKのプライムタイムのニュースを見ようとしたら、並んだヘッドラインがすべてオリンピック関係だったので、いくらなんでもひどいと思い、電源を消したことがあった。
羽生結弦とか藤井聡太とかカーリング女子とか、そういう誰からも批判が出てこない人気者たちを大きな看板に仕立ててその後ろでこそこそとなにかを通そうとしたんだけど、今回はあまりにもずさんなモノを土台にしようとしたから失敗した。でも、あのずさんさっていうのは、厚労省サイドの意趣返しみたいな意味合いもあったのかも。厚労側に立てば、長時間労働が増えるほうがデメリットなわけで企業側の言い分を聞き入れたいわけがないんだけど、それが政府の圧でとりあえず外形的にでも従うふりをして、法案が通ったら通ったで覚えがめでたくなるし、失敗すれば失敗したで「元からやりたくなかったからねー」という仕返しが成立するというような、そういう”どっちに行ってもアリ”という方法を採ったのでは?
なんてことを考えていたら、予想通り国民栄誉賞のニュース。さーて、「みんなだいすき」な東京五輪ではどんなことが決定しちまうんでしょうかね。個人的には、バカ騒ぎの裏でこんなバカげたことが決定された、と後世に大批判されるようなことが起こることを期待している。

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