とはいえ、わからないでもない

カテゴリ: アイドル

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ちょうど十日前、アイドルネッサンスの解散が発表された。その時期は2月の末あたりになるとのことだが、来年の2月じゃない。なんと今年の2月だというのだ。なんとも唐突なニュースだった。


ボブ・ディランがノーベル賞を受賞したというニュースが世界中を駆け巡り、ノーベルのアカデミーが連絡を取ろうとしても当の本人が居留守を決め込んでいたさなか、あるミュージシャンがその受賞を、「エベレストに対して、『世界一高い山です』といって表彰するようなものだ」と評した。
その意味はつまり、「ボブがすごいってこと、もうみんなとっくにわかっていただろう?」ということだ。
けれども、誰もがボブ・ディランになれるわけではない。
アイルネ解散の報を受けて動揺を隠せない人たち――簡単に「お疲れ様でした。みなさんの今後の活躍を期待しています」の一文で終わらせられない人たち――はみな一様に、まだじゃないか、という思いに駆られ、場合によっては憤っているのではないか。まだ、彼女たちにふさわしいステージや、功績、栄誉が与えられていないじゃないか、と。
あるアイドルについて、認識したその瞬間から、将来やってくるであろう解散や卒業を山頂としてあらかじめ設定し、そこに至るまでの彼女たちのステップアップをよろこびをもって追っかける、という愉しみ方がある。ひねくれすぎてしまっているとは思うけれど、このアイドル飽和・爛熟時代における多様化しつつある「消費」の一手段としてはしょうがない部分もある。
そういう意味では、アイルネの初期メンバーたちがはじめて自分たちのMVを観て感激していた動画を観た日から僕は、彼女たちの解散というものを避けがたい宿命として覚悟していた。覚悟してはいたが、やはりそれにしても、早すぎである。

思い入れのない人たちであれば、アイドル解散や卒業のニュースは「あらら……やっぱりアイドルブーム終わってんだな」のひとことで済ませられるだろうけれど、残念ながら今回の僕は、そうは済ませられない。ファンともいえないし、ましてやヲタクだなんて口が裂けてもいえないけれど、それでも強く関心を持ってきた者としては、辛い。
「いつまでも同じものはないのだ」という人類史上何億回繰り返されたかわからない慰めだか諦めのための言葉があるということは知っていた。けれどもそれは、ただの聞き飽きた格言として知っていただけであり、なんの実感もともなわない文章でしかなかった。それがいま、深い含蓄と意義とをともなってこの僕の前に立ち現れている。
それでは、その言葉によってすこしくらい気分がスッとすることでもあっただろうか。すんなりと事実を受け容れられるようになったか。答えはノーだ。そんな言葉なんかではとうてい慰撫されることのない荒れた心のままで、いまこの文章を書いている。憤怒の矛先をどこに向けるべきか、いまだにわからないままでいる。

解散の第一報を知ったときまずまっさきに、彼女たちを急にほっぽり出すような運営側のやり方に猛烈に腹が立った。憶測を書いても仕方ないし思い浮かびもしないので、解散の理由を深読みすることはしないしできないが、メンバーだって相当に悔しいし悲しい想いをしているのだと思う。たしか受験を控えているメンバーだっていたはずだ。大学受験じゃない。高校受験の、だ。そういう時期に、こういう決定をくだすなんて。というかそもそも、メンバー個人個人の非常に大切な時間を預かっている、という意識が運営側には欠落していたんじゃないのか。
ビジネスの観点に立てばアイドルというのは、彼ら彼女らのその貴重な人生の一部を切り取って売ることによって商売を成り立たせている。これは認識の仕方によっては、という問題でなく、れっきとした事実だ。
その残酷な現実をきちんと理解したうえで、だからこそ彼ら彼女らには、その行為にふさわしい栄誉が与えられるべきだと多くのファンたちが思っている。そして、見返りという言葉は適当ではないかもしれないが、アイドルネッサンスのパフォーマンスや努力に対してなにがしかがあってしかるべきだ、と僕も思っていた。
それがどうだ。繰返しになってしまうが、ことアイドルネッサンスに関しては、いよいよこれからだという段階で捨てられてしまった。言い方は悪いが、「大人のビジネス」の実験台になっただけじゃないのか。当初の意図とは別に、結果としてそう映ってしまうところに、この怒りの原因はある。
けれども、第一報のすぐあとに出た制作スタッフの方のinformationを読んだとき、「この人だって、この文章を苦しみながら書いているのではないか?」と感じられた。「ブレイクスルーさせることが出来ませんでした」だなんてことを無表情・無感動で書ける人間なら、そのあとにつづく、いちいちのライブでの感動場面を詳細に書くだろうか。

結局、もやもやとした思いをどこにぶつけることもできず、消化不良のまま解散の日を迎えることになるのだろう。そしてその日でさえ、ほかの一日と同じように過ぎ去っていくのだろう。
それは、ある程度年齢を経た人間ならけっこう身に染みついている感覚であって、もうちょっと年若い人からすれば「冷てえなあ」ということになるのかもしれない。たぶん僕だって、二十代の頃にそんなことを耳にしたらまっさきに批難していたと思う。
でも、そもそも現場に行っていないということを考えれば、冷たいもなにも論ずる資格すらないのだ、ほんとうは。
ただ、年をとることにはいい面もあって、それは、若い頃よりもう少しだけ視野が広くなることだ。
アイドルネッサンスというグループが解散する日は、メンバーそれぞれがあらたなステージへと移行する日でもある。詭弁ではなく、ほんとうに言葉のとおりそうなのだ、ということをこれまた感覚的に知っているのだ。
勝手に「終わったこと」にしようとするのはむしろファン――それも特別な思い入れを抱えている熱烈なファンだったりする――のほうで、彼女たちの生活はもちろん終わらない。むしろこれからの人生のなんと長いことか!
ファンは、彼女たちの不在をいまから案じても仕方がない。その胸苦しさは、不在が現実のものになったときにはじめてやってくるのだろう。彼女たちのいない夏。彼女たちのいない冬。そして、彼女たちのいない一年間。そういうものに出会ったときに、はじめて自分たちのなかにあるほんとうの空虚さに気づくのだ。
門出の日にさみしさや悲しさはつきものだが、けれども同時に、晴れがましさや華やかさだってあるはずだ。進水式にシャンパンのボトルを割るように、彼女たちには派手なお祝いこそがふさわしい。彼女たちのあらたな航路が幸多からんことを祈る。そう祈ることくらいしか、われわれにできることはないのだ……。

彼女たちのカバーによってBase Ball Bearの『17才』をはじめて知った。詞曲の小出祐介は、「自分が17才のときにこういうことを唄ってほしかった、というつもりでつくった」ということを発言していて、この発言をもとにして、自分が過ごしてこなかった17歳の短歌をいくつかつくってきた。こんなことがあったのかもしれない。もしかしたら、こんな振る舞いをすることができたのかもしれない。そういう想像は、現実よりずっと面白かった。
教科書も電線も眠る薄明の朝 ネコがいたら抱きしめたのに
不意打ちの映画のようなサボタージュ -1℃の鼻がしらに触(ふ)る 
7.9(7コンマ9)秒を切る恋があり 動悸も怯えも置き去りにして
年明けてぎこちないふたりに戻り 粉雪のなみだミトンに滲みて 
境内の砂利道 振り向きざまのいま リンドグレーンの少年おぼゆ
近くても斥力感じる美術室 「できる子」「よい子」じゃなくたっていい
本棚の陰で心のコイントス 図鑑広げて「きみは、なに好き?」
新しくした髪留めに込めた暗喩 「めかし込みすぎ?」鏡に問うて
新井乃亜(あらい・のあ)さん、南端まいな(みなみばた・まいな)さん、比嘉奈菜子(ひが・ななこ)さん、石野理子(いしの・りこ)さん、宮本茉凜(みやもと・まりん)さん、百岡古宵(ももおか・こよい)さん、原田珠々華(はらだ・すずか)さん、野本ゆめか(のもと・ゆめか)さんに、それぞれの歌を捧げます。
単なる修辞としてではなく、心の底から、みなさんの今後がこれまで以上のすばらしいものになることを願っています。


ちょうど十日前、アイドルネッサンスの解散が発表された。唐突なニュースだった。僕はまだ、この現実をはっきりと受け止めることができていない。喪失の予感が空虚さの輪郭みたいなものを生み出し、いまはそれが薄ぼんやりと感じとれるだけだ。

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最初に断っておくと、アイドルのいろはの「い」も知らない素人のたわごとです。あと、長くなってしまった。

今年のアイドル関連でいちばん書きたかったことはすでに3つの記事にして書いてしまった。
あとは20曲選べばいいや、と思っていたらこれが難航。20曲に絞れないので、けっきょく30曲となった。
しかも、いきなり「次点」から始まる。

【次点: THE 夏の魔物 - 僕と君のロックンロール(※公式のMVがなくなってしまっている……)】

なぜ次点にしてまでもランクインさせたかというとその理由は、1/6に新メンバーとなった麻宮みずほが、9/17に脱退するときの理由と一緒だ。つまり、アイドルだと思っていたのだけどそうではなかったから。
僕も、ここは「いろいろなメンバーがいるけれど、ぎりぎりアイドル枠なのかな」と認識していたのだが、リーダーの考えではバンドらしい。うん、いやまあ、バンドって言われればバンドだよな、たしかに。なんでアイドルって思ったんだろうと、そっちのほうが不思議になるほど。狐につままれていたんだろうか。
この曲はもともと大好きでトップ15までは入れるつもりだったのだが、アイドルじゃないと言われればランク外とするしかない……というわけで、次点。
なお、このグループの曲では他に『RNRッッッ!!!』もよかった。DOTAMAのラップが聴きどころではあるのだが、
最高のチェキだったね
RNR(ロックンロール)だ 瞬間だ
ハートの夕陽の中で
弾けないギターを鳴らしてたッッッ!
の歌詞がすばらしい。ちなみに、リリスクの『DO IT NOW!(HEY!HEY!HEY!)』のなかにも、
運命なんてアテになんないから 今からふたりで派手にやんない?
Rock You 弾けないギターを
かき鳴らす気分で!
HEY HEY DO IT NOW!
という部分がある。

【30位: ぜんぶ君のせいだ。- わがまま新生Hominina

たしかコンセプトは「病みかわいい」とかで、そういう「病む」というものを属性にしているというのを先に知ってちょっと敬遠していたのだが、たまたま楽曲を聴いたらでんぱ組っぽくてすぐに受け容れられた。歌詞を精査するほどまでは聴き込んでいないのだが、このグループの楽曲は全般的に好み。
最新のMVだったかについていたコメントで、「最近、『病みかわいい』の『病み』成分が不足している」みたいなのがあって、なぜだか微笑ましい気分になった。

【29位: ROSARIO+CROSS - HELLO!未来

静岡のローカルアイドル、ロザリオクロス。流し聴きをしていたらサビの、
頼ってくれてもいいんだぜ
遠慮はいらないぜ
の表現が面白く感じられて、それで好きになってしまった。こういう元気のいいアイドルポップスとでも呼ぶべき楽曲は、意図的にランクインさせたいと考えているところもある。

【28位: テンテンコ - なんとなくあぶない

つい最近の曲。なぜか耳に残ってしまうんだよなあ、坂本慎太郎っぽいよなあと思ったら、まさに詞・曲がそのまんまだった。そりゃ気になるわけだ。

【27位: ・・・・・・・・・ - スライド

まず、「このアイドル、なんて読むの?」ってのがふつうの反応。ドッツ(dots)でいいと思う。まあこれが異常に検索しにくいんだわ。その意図的な検索親和性の低さからしても、このアイドルのコンセプトがかなりひねくれているのがわかるというもの。公式サイトも探しにくいし……。
けれど、楽曲の疾走感と、ヴォーカルのどこか頼りない感じとのバランスがとても好き。けっこう好きな人も多いのではないか?

【26位: 宗教法人マラヤ - GET UP!解脱

まあ、ここもコンセプトがひねくれているというか、狂っているというか、なんか全然違うところで話題になっているうちに終わってしまって、それで怖いもの見たさで曲を聴いたら、それなりに、どころかなかなか中毒性があった。
それがいいことか悪いことかわからないが、パフォーマンスアートの一環としてアイドルという形態を利用する人は多そう。プロデュースする側にも、自分でパフォーマンスする側にも、たぶんどっちにも。

【25位: 吉田凜音 - りんねラップ2(※リンク先は「2」ではなくただの「りんねラップ」)】

トラックがE Ticket Productionということで、昔のライムベリーの音楽を作っていた人だよね、たしか。ライムベリーがリニューアル(空中分解ともいう)したとき、一気に聴く気がなくなってしまったのは、Himeがいないじゃんってことより、楽曲がしょぼくなっちゃったからなんだよな(ちなみに、今年リリースされた『TOKYOチューインガム』は、ライムベリー名義でひさーしぶりにいいなと思った曲。Miriがいいだけに、ライムベリーにはもっといい曲を!)。
そのEチケットがプロデュースしたミニアルバムに収められたこの『りんねラップ2』は、当然トラックはカッコイイし、それに吉田凜音が、ルックスからはあまり想像もつかないハードなタイプのラップをかましていて、そのギャップがよい。

【24位: キャンディzoo - 結晶

この何回も転調がつづくのを聴いていて、「ああ、これってキャンディーズの『キャンディーズ1676日』(11分超のかなり長い曲だが、大好き)っぽいコンセプトなのかな」と思い、そこでやっとこのグループの名前が、「キャンディーズ」のもじりだということに気づいたという、ずいぶんマヌケな話。それはともかく、相当に凝った曲のように思う。

【23位: Q'ulle - DON'T STOP

ここのカッコよさはもう去年から確認済みで、ほんとに好きな感じなので売れてほしいのだけれど、さてどうなんだろう?
いわゆるアイドルファンっていうのは、こういうハードな感じ好きなのかな? ダンスもうまいし、みんなきれいめ/かわいめ(※きれい/かわいい、と断言しないのは、一般の感覚がよくわからないからで、基本アイドルはみんなきれいだし、かわいいと思っている)なんだから、男のファンなんかは「たまにはカワイイのもよろしくお願いします~」ってならないのかな。
僕からすれば、あえて甘さに逃げないみたいな反骨精神が感じられてかえって好ましく思うくらいだけど、たとえどうあっても、彼女たちが売れるきっかけをつくってもらいたいものだなあ、と素人は考えます。

【22位: KissBee - どっきんふわっふー

こういうのって、ハロプロっぽいっていうのかね。ハロプロじゃないんだけど、コミックソングっぽさが僕の好み。これもなーんか中毒性があるんだよな。けっこう凝っているように思う。もっとこういう曲がアイドルソングで増えてほしい(すでにあるのかもしれないけど)。

【21位: DEVIL NO ID - まよいのもり

アイドルかどうなのかもよくわからないユニットなんだけれど、この子たちのダンスがすげークール。で、楽曲もすっげーカッコイイ。そのクールさとかハードさが、女の子たちの童顔とすっごくミスマッチで、そこが面白い。

【20位: MIGMA SHELTER - Svaha Eraser(※リンク先の0:00~4:34)】

これまた、まず音楽がカッコイイでしょ。これ、もはやアイドルソングなのかって感じで、つまり自分たちのニッチを探して探して探して行き着いたところのひとつが、こういう音楽だったってことになるわけだけど、ある意味でアイドル飽和時代のひとつのモデルとして観ることも可能かもね。ま、そんなつまらないことは考えないで、ステップを踏んでダンスを踊ろう。

【19位: Passcode - Same To You

ここの魅力は、転調とデスヴォイス。これも売れておかしくないよなあ。ベビメタだって売れているんだもん(ベビメタが悪いってことじゃない)。ライヴもすごく盛り上がるって聴いたけど、一回観てみたいな。こういう、ふだんの自分の趣味なら聴かないような音楽を提供し、かつその面白さを教えてくれるのはアイドルという非常に懐の広い音楽ジャンルであればこそ。

【18位: SAiNT SEX - WACK is FXXK

このMVを視聴していて、やっぱりWACKの子たちのヴォーカルって好みなんだなあと思った。なんか歌謡曲っぽさというか、ちょっと泥臭さ・垢抜けなさがあって、それがまたいい。プールイ、アイナがいいのは当たり前だけど、このシャッフルメンバーのおかげで、ギャンパレのヤママチミキという存在を知ることができた。

【17位: 虹のコンキスタドール - LOVE麺 恋味 やわめ

これは去年の曲なんだけれど、年末だったので、今年のランキングへ。チャイナ風なイントロが印象的だが、やはり同年12月に出たNegiccoの『愛、かましたいの』もチャイニーズ風味のアレンジで、偶然なのかもしれないけれど、ふたつともいい曲だったなあということを思い出す。
また、キーボードの不安定な音が去年亡くなったプリンスの"The Ballad Of Dorothy Parker"を思わせるところもあって、それだけでなんかぐっときた。といったって、プリンスの同曲だって、ラジオの追悼番組で知ったクチなんだけど。
しかしまあ、曲はいいんだけれどMVはあまりできがよくないんだよね。あと、虹コンは今年だけで何人やめたのよ……さみしい。

【16位: まねきケチャ - 冗談じゃないね

コールが冴えに冴えまくりそうな、これぞアイドルソングってやつで、ライヴがたのしそう。で、実際にライヴ動画を観てみると、アイドルよりヲタクのほうがテンション高いっていう。それを含めて、やっぱりたのしそう。
「ジョッジョッジョジョ ジョッジョッジョ(うりゃおい) 」で始まる印象的なフレーズだが、あれって、つなげてみるとちゃんと(?)「じょうだんじゃないね」になっているのが意外に気づかなかった。けっこう洒落てると思った。よだれが出るほどの中毒性に注意。

【15位: Yunomi feat.TORIENA - 大江戸コントローラー

これはものすごく凝った名曲。歌詞も、ありきたりなシュールものというわけじゃなく、これまたものすごくよくできている。冒頭の、
昨年話題になったUFO墜落事件
今はただの観光資源
の韻の踏み方だけをとっても、タダモノではないという感じがする。
『冗談じゃないね』なんかそうだけれど、アイドルソングでハマってしまうものっていうのはけっこうハイテンションがウリなのが多いんだけれど、この曲はその逆でかなり理知的につくられていて、ノッてしまうというより、ノセられてしまうというほうがより正しい。何回聴いても飽きないし、2017年ヘビロテ曲のひとつ。

【14位: アイドルネッサンス - Blue Love Letter

今年は彼女たちにとってはじめてのオリジナルソングがリリースされた年で、その4曲ともがいいのだが、どれかひとつとなれば、やはりこの曲か。
青い文字は忘れにくいって聞いたから 青インクで書きます
自分でも忘れちゃいそうなこと 君が憶えてたなら 魔法みたいだね
柵から乗り出し 叫ぶような君の さよならも青色だったのかな
まあ、小出祐介の歌詞のすばらしいことといったら。この愚直なまでの青春感と、それを嫌味なく唄えるアイドルネッサンスというグループのベストな組み合わせだと思う。
でも、『交感ノート』を貫く透明性や、『5センチメンタル』の持っているストーリ性も捨てがたいし、『前髪』の歌詞の
歯の矯正つらかったけど やってよかったな
という部分を、実際に矯正をしているメンバーが唄っているところには心底ぐっときた、ってことは強調しておきたい。

【13位: GANG PARADE - Plastic 2 Mercy

以前からある曲で、オリジナルのプラニメのものは2014年。ワックおとくいの、リサイクルである。
が、いいものはいいし、この歌が眠ってしまうのは非常にもったいない。
ギャンパレの最近の衣装はサテン地に大きく「愚連隊行進」と刺繍されたヤンキールックで、批判もあるみたいだが、僕はそのセンス好きだな。

【12位: Task have Fun - 3WD

かわいい女の子たちがカッコいい歌でカッコよく踊っているという、ただそれだけでいいんだ、ともいえるし、ただそのことがいちばん難しいんだ、ともいえる名曲。サビの振り付けが面白く、ライヴではヲタクも一緒に同じフリをしていて、たのしい。MVも非常にキレがあるダンスと、デザインされた魅力的なタイポグラフィをたのしめる。

【11位: BiSH - プロミスザスター

「売れたよねBiSH」って言葉が今年のアイドルファン同士の会話でどれくらい交わされただろうか。Mステに出演したし、横浜アリーナ(その前身ならぬ前コンセプトの第一期BiSの解散ライヴの場所でもある)でのワンマンも決定した。
僕がアイドル界でヴォーカル四天王と呼んでいる4人がいる。石野理子(アイドルネッサンス)、アイナ・ジ・エンド(BiSH)、林愛夏(ベイビーレイズJAPAN)、脇田もなり(元especia)だ。
そのアイナのヴォーカルがすごいのは前々から知っていたので、そりゃ有名になって当然だろうと思いもするが、しかし、いくら楽曲がよくても、あるいはいくら歌がうまくても有名になれないパターンをいくつも知っているので、やはり有名になった(「なりつつある」のほうがより正確かもしれない)ことに多少の驚きも覚えている。
BiSH特集をしていたEテレの『Rの法則』を観ていたら、BiSHのファンである中高生の女の子たちが、その歌詞世界を自分たちなりに咀嚼し、日々を生き抜くための糧としているのが痛いほど伝わった。中高生限定ライヴで懸命のパフォーマンスを目の当たりにして震え、そして涙していた彼女たちこそが、アイドルの真のファンであるのかもしれず、いわゆるヲタクとは一線を劃すのであろう。
プロミスザスターはたしかに名曲で、特にサビ部分の振り付けが好きだ。素人観点だが、アイナのフリはけっこう泥臭いというか、けっして洗練されていない。しかし、それだからこそいい。整ったもの、乱れないもの、完璧なもの、そういったものと無縁なものこそを、われわれは愛する。もどかしいほどに何度も何度も手を振る姿は、現状を否定し超克しようとする”足掻く者”として美しく、観る者の心をざわつかせる。

【10位: 石野理子(アイドルネッサンス) - 道(LIVE)

宇多田ヒカルのカヴァーなのだが、僕としては宇多田本人より全然よい。先に宇多田のオリジナルを聴いたときにはまったくピンとこなかったのに対し、石野ヴァージョンを聴いたときには、不意に「あ、これは藤圭子のことを唄っているんだ」ということに気づいたくらいだ。本人の歌なら響かないのに、彼女だと響くというのが僕にとっては非常に興味深いことだった。
これはただの好悪の問題ではない。石野が心を込めて唄っているものに感じられたのは切実さで、洗練され完成された音源である宇多田のものに、僕はそれを見出すことはできなかった。もしかしたら宇多田のライヴ音源で聴いたのならまた別の印象を受けたのかもしれないけれど。
リンク先の動画では、画面の向こうで、アイルネメンバーから3人がコーラスとして立っている。サビ部分で原田珠々華(さっきから、年端もいかない女の子を呼び捨てにして恥ずかしいなとは思っているが、自分ルールとして敬称はつけない)が石野の口元を見ながらハモっているのだが、その姿から敬意と奉仕の心が見える。
一方、切々と唄う石野は若干16歳(当時)でありながらも堂々としていて、しかしやはり同時にどこか脆さも抱えていて、そのいつも僅かに残っている不安定さこそが彼女の魅力。知らない人は、ぜひ『ノスタルジア』も一緒に聴くべきだ。
石野理子が、そしてアイドルネッサンスが、他のアイドルに比べてあまりにも知名度が低いのをほんとうにもったいないと感じている。衣装から優等生とかおとなしいイメージを受け取るのかもしれないが、歌だけではなく、実はダンスがうまいメンバーも多い。たしか石野理子は、広島のアクターズスクールで、はじめ歌はあまり評価されていなくてダンスのほうで頑張っていたんじゃなかったっけ(広島のレベルの高さよ……)。『太陽と心臓』のライヴ動画もすばらしかった。

【9位: Negicco - ともだちがいない!

活動15年目に突入している新潟のローカルアイドルってだけで、もう感涙もの。まあネギッコを嫌いっていう人はいないようで、ファンだけでなく、関わったミュージシャンなどもみんなファンになってしまうのだという。どこかで読んだのだが、歌がうまいとかダンスがうまいとかかわいいとかいうことはほんとうは二の次で、「この子(たち)のためになにかしたい」と思わせる力がいちばんアイドルにとって必要な能力(?)らしい。
サトウ食品だけでなく(なにもサトウ食品が悪いと言っているわけではない!)、武田薬品のネットCM(?)にも起用されたってのが嬉しい。
さて、今年は前述した『愛、かましたいの』や『愛は光』もよかったのだが、Homecomingsのつくったこの曲がいちばんよかった。
退屈な授業中に書く手紙
夕日色の中で弾くピアノ
知らない誰かの噂話が
どれもキラキラしててヤになるなぁ
友だちがいないということがけっして絶望的なわけではなく、ちょっとした気だるさを催させる程度という解釈がすてきだ。孤独がもたらすものはさみしさだけではなく、自由もあるのだ。そのうえで、友だちができたのならという希望も捨てずにいるところにこの歌の眼目がある。
間違いだらけ テストの隅っこ
夢で見たようなことが起こるよ!
眠らないままでどこへでも行けるかな?
もし ともだちができたら!
思春期の人なんかたちに聴いてもらえたらな、と願う。

【8位: TWICE - TT

これも頭おかしくなるんじゃないかってくらいに繰返し視聴した。
あまり知らないくせに決めつけるのはよくないのだが、K-POPアイドルってのはみんなプロという感じがある。「かわいさ」を表現するとき、日本のアイドルは、ちょっと照れたり謙遜したりするような仕方で間接的にあらわすことが多いが、すくなくともTWICEはストレートにかわいく振る舞う。
振り付けを観ていると強く思うのだが、かわいさとセクシーさとがかなりいいバランスで演じられていて、すごくいい。
上にリンクを貼ったのはハングルVer.で、日本語Ver.の動画はそれに対して、非常に魅力減につくられている。もうね、共産主義社会かっていうくらいに非常に抑制的で、腰を振ったり胸を強調するような振り付けの部分が比較的カットされ、代わりにこれでもかっていうくらいにバストショット、バストショット、バストショット。韓国の人がこのMVを観たら、「日本人、顏好きなんだなあ」って絶対思うはず。オリジナルは、相対的に全身が写っているカットが多い。
そもそも、日本語版はTWICEのメンバーが、ドライヴシアターに映るTWICEが主演している映画だかビデオだかを観ている、という設定なのだが、そのときにみんながお揃いの制服みたいなのを着ていて、これが非常にセンスないなと思った。
多少の差異こそあれ、ほぼ同じデザインのものを着せるという発想は、AKBとか乃木坂とか欅坂のそれとまったく変わらない。『TT』のオリジナルMVが、メンバーがそれぞれコスプレをするという内容に比べると、まさに正反対のアイデアだ。どちらがメンバーの個性を表現できるだろうか。
概して日本Ver.は、去勢された感じというか、セクシーさというものを意図的に排除したようなつくりになっていると思う。女性の持つ大人っぽさとか(同性が支持できる程度の)セクシーさなんかを目の前にしてしまうと、そういう女性に劣等感を覚える日本人男性のアイドルファンが少なくないからではないかと愚察するのだがどうだろうか。かくいう僕も気後れするほうではあるのだが。
(上記を書いてしばらくしたら、E-girlsがいることを思い出した。ほとんど知らないのだが、あのグループはけっこうセクシーさを前面に出している。けれども、ファン層が違うというか、あれはどっちかっていうと女の子に人気があるんじゃないかなあ?)
キラーチューンの『TT』以外にも、日本でのオリジナル楽曲『One More Time』や、『KNOCK KNOCK』もいい。特に後者は、なぜかMiley Cyrusの『We Can't Stop』を思い出させる。マイリーのあの曲は、頽廃的なMVは好みではないが楽曲じたいはものすごく好きで、もしかしたらコードが似ているのかもしれない。
ちなみに、韓国でのライヴ動画なんかを漁っていると、ときどき韓国のヲタクのコールを聴くことができるのだが、日本のそれと異なり、向こうはかなり発声の統一を図っているところが目立ち、「ああ、向こうのは軍隊仕込みなのかな」なんて思ってしまう。もちろん、日本のも韓国のもどちらも趣があってよい。

【7位: BiS - I can't say NO!!!!!!!

ライヴ動画をはじめて観たとき、具体的にいえばペリ・ウブが唄い始めたところからもう心が持って行かれてしまった。詳しくない人であれば初見で「あ、アングラですか」と即断すること間違いないだろうが、まさに僕も「唐組をテレビではじめて観たときに感じた衝動もこんなだったなあ」という感想を持った。もちろん、いい意味でハートを射抜かれてしまったのである。
アイドルにおいて正統なものというものがもしあるとすれば、BiSH以上に、BiSはその反対の”異端”であろう。このあいだプロデューサーの渡辺淳之介がヒャダインのラジオ番組で言っていたのだが、BiSHは予想以上にステップアップしているのだが、第二期のBiS、つまり現在のBiSは思った以上に停滞しているとのこと。その理由はおそらく、ふたつのグループの客層はもはや完全に分かれていて、後者はかつてのBiS寄り、渡辺いわく「完全な内輪ノリ」のBiSに近いからではないか。
プールイといえば、ダイエットに失敗→活動を一時休止という企画が大々的にメディアに取り上げられ、人権的な観点、あるいはBiS界隈的観点の双方から議論がなされたが、まあ議論ってほどのものではなかった。というか、そういうものに目を通さなかった。
人権擁護でご高説を打つ前に、一度なりともBiSを聴いたことがあるのかな、という疑問はあった。一方で、渡辺淳之介のやることは面白いからすべて肯定するよ、という無批判人形になっていやしまいか、という疑問もあった。
僕自身は、プールイが傷つかなければいいなと思っていた。自分の気持ちよさだけを追求した議論などは抛っておいてかまわないから、彼女がスムーズに復帰できる環境が整えられ、その機会がただちに用意されるべきだと思っていた。
結果的にそれは早くやってきた。上に挙げたライヴ動画版の冒頭ではまさにそのところに触れている。
「なにダイエット失敗してんだよ!」
すごく優しい仲間の言葉だと思った。どんな「人権家」たちの言葉よりも。

【6位: lyrical school - つれてってよ

11月にこんな名曲に出会えるだなんて。『夏休みのBABY』を出してくれただけでもう充分だったのに、こんなプレゼントをもらえるなんて思ってもみなかったよ。
新体制になったばかりだというのに新たなメンバー3人が強力すぎて、最高が更新されていくのは確約されていたようなものだったが、たとえばrisanoの安定したラップはこなれすぎていて、「あれ、旧メンバー?」ってほど。ライヴ動画もいくつか出ているが、盛り上げているのがどちらかといえば新メンバーの方だもの。
そうそう、上のMVの衣装はちょっとモサイけれど、ライヴでのスウェット/パーカー・ハット・バックパックというスタイルはとてもキュート。リリスクはちょっと衣装に不服があったところなので、バッドガール的ではなく、かといって、あまりにもファッションコンシャスなのでもないような、親しみやすい恰好をしてくれるとなおよいと思われる。
ちなみに、オフィシャルグッズのTシャツのなかにはけっこうかわいいものがあるんだよねえ。そうそう、それで思い出したけれど、アイルネと西村ツチカのコラボTシャツが限定販売されていたんだけれど、気づいたら完売していたっていうのが今年悔しかったことのひとつ。これ、アイルネファンでなくてもかわいいと思うんじゃない?

【5位: ゆるめるモ! - モイモイ

リンク先はオフィシャルの踊ってみた動画だけれど、公式のMVより歌詞がわかるし、こちらのほうがすてき。
この曲はほんとうに小林愛の歌詞がすばらしい。この人、あまり情報が出てこないからわからないんだけど、すごい才人のような気がする。ほかのアイドルグループから声かからないのかな。もっと売れてしかるべき人だと思う。
「モイモイ」というタイトルからは、なにかふわふわとしたようなかわいらしい生き物なり、あるいは形容詞そのものを思い浮かべる。しかし、その甘い想像はあっさりと覆される。
もういい もういい 魂売りたくない 今日は知らない場所で
あなたと私は踊りましょ 
とか
もういい もういい 人類は同じ温度で沸騰しない
だからよ 今日は踊りましょ
などのサビによって、「モイモイ」が「もういい、もういい」のことだとわかる。ここでまず頭を殴られたような気分になる。
「魂を売りたくない」というのはすごい歌詞だ。背中に氷片を入れられたように心がひやりとする。高橋源一郎『ゴーストバスターズ』でここぞというシーンで女子高生が「ワタシ、魂ヲ殺シチャッタ」(講談社文庫版352p)と言うのだが、ついそのことを思い出してしまう。
その「魂ヲ殺ス」よりは「魂を売る」のほうが全然マイルドだし、もっと言ってしまえば「魂を売りたくない」というのは、ポップスでは珍しいかもしれないがロックでは常套句のひとつとも言える。しかし、「魂を売りたくない 今日は」となると話は変る。
アルバム(小林愛の歌詞を読みたかったので盤を手に入れた)の歌詞カードを見れば、上に書いたような並びになっているのだが、僕はどうしても
もういい もういい 魂売りたくない 今日は
知らない場所で あなたと私は踊りましょ 
に思えてしまう。あしたになってしまえばまた魂を売るような毎日がつづくのだけれど、きょうのところだけはそういうことはやめにしたい、そういうことなのではないか。ほかの部分では「今日ぐらい」という言葉も出てくるし。
サビ以外のAメロBメロの曲調はゆるめで、歌詞を見なければ明るい曲なのかなと思ってしまうが、この曲のつくりじたいが、現代の若く傷つきやすい人たちの気持ちをそのままあらわしているのではないか。傍から見れば明るくたのしく振る舞っていてもその日常は辛く自分を削っていくような毎日で、瞬間瞬間のたのしさを見出してそれを糧に生き抜くほかない、というような。なにせ、
パラパラ降る雨 私の血 混ざったら 皆ふりかえる
という死をイメージさせるフレーズがあるくらいなのだから。
しかし、これは絶望の歌ではない。もちろん、「魂を売りたくない」と絶叫すれば世界は変えられるなどと夢想するような単純な希望の歌ではないが、しかしウェイトは、辛い現実にあるのではなく、あくまでも「きょう、あなたと踊ること」のほうにある。
それはたぶん、刹那的な現実逃避のメタファーだ。しかしこの歌はそのことを悪いものとしてとらえていない。ときに逃げ、ときに躱しながら、現実をやりすごすこと。それしかサヴァイヴの方法はない。この歌の持っている眼差しは思いのほか冷静で、それも前述した「現代の若く傷つきやすい人たち」とリンクしているように思う。
彼ら/彼女らは、「世界は、」などと大上段で語らずに、せいぜい「世間は、」にとどまる。世間は一様ではない。二元論などで簡単に語れるものではなく、美しいもの・すばらしいもので溢れているわけなどないし、ブルーハーツのように「悪いことばかりでもない」とつづけられるほど中庸であるとも楽観視しておらず、いまのところ完全に絶望はしていないという点をもって、生きている。死を思わないわけではない。ときには「死にたい」とか「死ぬ」などとSNSで漏らしていることだってあるかもしれない。そこに嘘はない。いつだってギリギリで、だからこそ悲しいし、だからこそよろこびだってある。最後になされる
ボロボロの紙を渡されても  絶対そこに夢を描く
という宣言は頼もしくすらあるが、しかしそれさえも「でもまあ今日は踊りましょ」と軽くいなされてしまう。彼ら/彼女らは、自己憐憫にも自己陶酔にも浸らないのだ。
長くなってしまったのでさらっと触れるだけにするが、『うんめー』も、さすが大森靖子の詞・曲とあって、すばらしいでき。

【4位: MOSAIC.WAV x 夢眠ねむ x 夢眠ネム - あるいは夢眠ねむという概念へのサクシード

公式ではないが、Full Ver.をリンクしておく。『VOCALOID 夢眠ネム』というコンピレーションアルバムに収められたもの。これはでんぱ組.incのメンバー夢眠ねむと、その声をつかったヴォーカロイドの「夢眠ネム」とのコラボ曲。作詞は曲担当でもあるMOSAIC.WAVとなっているが、たぶん夢眠ねむにインタビューなどをしてその内容を反映させているように思う。この「夢眠ねむという概念」という言葉じたい、「夢眠ねむを世襲制にする」とこれまで発言したこともある夢眠ねむ自身(本人の弁を借りれば「夢眠ねむの中の人」)のものという気がする。
この歌を上位に持ってきたのは、ひとえに、夢眠ねむというかなりのメタ視点を持ったアイドルが、アイドルという存在を問い、そこで得られた答えをひとつの楽曲に刻んだ、というこの歴史的行為を讃えたいからである。
自意識が過剰に発達した人というのはアイドルに多いかもしれない。2009年の多摩美大の卒業制作(彼女の作品集『まろやかな狂気』に収められている)ですでに彼女は「夢眠ねむ」の名前を用いており、その「作品」とは、大量のミントグリーンのモノに囲まれたミントグリーンの服を着た「彼女自身」である。この話を美大卒のある女性に話したら、「美大なんてそういう人たちばっかりですよ」と言っていたが、「そういう人たち」のなかでもその自意識を深化・拡大させつづけていくことはやはり容易ではないはずで、それがつづけられる人――意志の話でもあり、その意志がもたらした結果の話でもある――が広義のアーティストなのだろう。たとえば彼女の発言、
私はみんながダサいと思ってたことだって、絶対これは格好良いんだっていう自信を持って今まで物を作ってきたから。でんぱ組.incのことだって、『何言ってんの? これ超格好良いじゃん!』って思ってた。
(『まろやかな狂気』25p-26p)
などはそれを裏付けてくれる。
その彼女が次に考えたのは、アイドルという存在が消えるということ。そして消えないようにすることだったのではないか。これはもう歌詞にそのまま書いていることで、
生きてく意味 軌跡をすべて
受け継ぐことができるなら

たとえわたしが消えてなくなっても
夢眠ねむは生き続ける
ただ、悩み貫いたこの思いが
忘れ去られることがこわいの?
だからいま…

夢眠ねむは概念になる
がまさにそれだ。そして、この歌がただの宣言や意思表示に終わっていないのがすごいところで、「わたしの名前をあげる」とその名前を差し出したその相手というのは「夢眠ネム」というヴォーカロイド(それだけではない、とも僕は思っているが)であり、機械である彼女(?)はある意味で永遠の生命を持っている。くわえて、この楽曲そのものによっても、「夢眠ねむ」の名前は永遠の命を得たのだ。
……とまあ、ねむきゅんならこういうメタ的展開好きかもねえ、なんていう見方もあるかもしれないが、この歌でどこが好きかというと、実は上述した「アイドルという存在」についての思考などではなく、以下の部分だ。
木々が空へと枝を伸ばすように
千年に亘る数学的証明のように
この決意を継承し
決して後戻りはしない
それはなぜ?
世界がこれ以上
悲しいループをしないように
わたしも、夢眠ねむになれる?
あなたは今日から 夢眠ねむだよ
存在論的な自問自答が自己完結に陥らず、むしろ開かれているというところに積極的な意味を見出したい。
もう一度書こう。夢眠ねむの卒業制作の話を美大卒のある女性に話したら、「美大なんてそういう人ばっかりですよ」と言っていた。「そういう人」というのは自意識が非常に強い人間のことだと思う。
夢眠ねむの自意識の拡大がもたらしたものは自己満足ではなかった。彼女の視線は他者に向けられ、そして希望にも向けられている。それは、「世界がこれ以上悲しいループをしないように」という一節からも明らかだ。
アイドルが、自我を記録・継承していくこと――それはヴォーカロイドに限らずAIなどの技術発展によって現実的に可能になりつつある――を意識的に唄った、という意味においてやはりこの楽曲は特異なのだと思う。

【3位: フィロソフィーのダンス - ダンス・ファウンダー

ほんとうはフィロソフィーのダンス(略称: フィロのス)だけで4曲くらいランクインさせたいものがある。その名前は2年ほど前から知っていたし、楽曲も聴いていたのだが、「ふうん」で終わっていた。それが今年の10月に『ジャスト・メモリーズ』を聴いて愕然とする。はじめは、ランダムに流し聴きをしていので、「ん? あ、prediaかあ。湊あかね(この人もめちゃくちゃ歌のうまい人です)、やっぱクソうまいなあ。すげえなあ……え? ちょっと、これ、めちゃくちゃいい曲じゃん、え? predia?」と思って調べたらフィロのスだった。いや、これすごいよ! なんでこのすごさに気づかなかったんだ、おれ! 駄耳!
そこへ、11月の頭にこのダンス・ファウンダーの動画がアップされる。衝撃。まず音楽がめちゃくちゃカッコイイし、そこに激うまの歌。さらに、面白い振り付けとそれをこなしつつ、きちんとグルーヴを感じさせるダンス。
まず、日向ハルというモンスターね。目を瞑って聴いていると、まずこの人(「この子」と呼ぶには恐れ多い気すらする)の声が耳に入ってくる。(伸び代は当然あるにせよ)ある程度まで完成してしまっている声で、まったくポジティブな意味で黒い匂いがする。動画を注視すると、ダンスもうまい。身体の中に黒人音楽のリズムマシーンが搭載されているって感じで、自然とグルーヴを生み出せるんだろう。才能があるってことはすぐにわかる。こりゃすごい。
けれども、ずっと音源を耳にしていると、もうひとりの声もとても気に入ってくる。奥津マリリの鼻にかかったようなスウィートヴォイス。ハルさんの衝撃が大きいぶん、もしかしたらあまり目立たないのかもしれないが、この人も歌がめちゃくちゃうまいし、実に個性的な声をしている。目立たないかも、というのはあくまでも歌や声の話で、動画を観てみればわかるとおり、この人の表情も実に豊かで、ダンスの表現力もすばらしい。あっという間にマドンナになってしまうタイプだ。このふたりのメインヴォーカルが存在しているってことは、他のグループにはないものすごい強みになるだろう。実力もあるし、といってタイプが違うので飽きさせるところがない。
しかも、このふたりだけでなく、もうふたりもすばらしい人材なのである。十束おとははいわゆるアニメ声なのだが、このノリがこのグループの「本格派」っぽい空気をいい意味で破壊してくれているようだ。彼女のパートは、想像だがみんな目を細めてにこやかにその挙動を見つめていそう。とても愛すべきキャラクターを持っているのである。
佐藤まりあは、背が高くスラッとしていて、そのスタイルでダンスしているというだけでもう無条件にカッコイイし、歌だって、前述したような「本格派」風味を中和するためにもう少し歌割りが増えてもいいくらい。あと、笑顔がすてき(ほかのみんなにも言えることだけど)。『ベスト・フォー(※ライヴ版)』の動画では「最高の4人」という意味で唄ったというMCがあるが、ほんとそう言っていいと思う。
なお、僕のヴォーカル四天王だが、脇田もなりはアイドルというよりミュージシャンになっちゃったし、アイナ・ジ・エンドはもう売れたから卒業してもらってもいいかなと思っていた(これからも応援するし好きだけれど、なんか僕みたいなのが応援しているってなると逆に味噌をつけそう、というおそれもある)。そのふたりに代わって今度からは、日向ハル、奥津マリリのふたりをくわえようと思った。それくらい、このふたりの声が好きになってしまった。
出たばかりのアルバム『ファウンダー』は大名盤で既述の3曲は入っているし、『D.T.F!(※ライヴ版)』も収められている。この曲は、アルバムを頭から流し聴いていて、初聴きでやられてしまった。ひとことで言うと、懐かしのロックなんだよね。サビの「オオ、オオー!」を聴いていたらなぜだかじんわりと涙が出てきた。悲しいとか嬉しいとかではなく、不思議な、懐かしいとしかいえない感情だった。
このグループ、『ダンス・ファウンダー』を年初あたりに聴いていたら、たぶん年間1位にしていたと思うし、2017年の個人的最大の発見だと思っている。大阪なんかでワンマンをやってくれたらほんと観に行ってしまうかも。とりあえず最新のワンマンのDVDを出してほしいな。

【2位: 校庭カメラガールツヴァイ -  Lonely Lonely Montreal(LIVE)

2016年の大晦日にアップされた動画である。音源ももちろんすばらしいが、ライヴ版が最高。たしかこのとき彼女たちは解散することが決まっていて(※最近活動を始めた校庭カメラガールドライはまったくの別メンバーによる後継ユニット)、そのことと、パフォーマンスのテンションと、歌詞とがリンクしていて奇蹟の一曲になっている。
コウテカはもともと楽曲がよくて、『Happy Major』のライブ動画を観て好きになった。ちなみにこのときは第一期というか無印の校庭カメラガールで、ひとりテンションの高い力量のあるメンバーが魅力的だったが、たしか学業に戻るとかいう理由であっさりと卒業してしまったのを衝撃をもって受け止めたことを憶えている。もうひとつ憶えているのはその子が理系の大学生だったということで、ふと、アイドルという存在がほんとうに身近な人がやっているものだということに気づき、ラップのうまいアイドルをやっている理系の同級生がもしいたら、絶対好きになってしまうだろうなあと想像したりもした。
やはり今年解散したハウプトハルモニーというグループもカッコイイ音楽をやっていて、けれどもアルバム名だったり曲名だったりがドイツ語表記で(そもそもHauptharmonieというグループ名すらパッと記憶しづらい)非常に凝っていたが、凝っていることが必ずしもセールや知名度向上には結びつかないということを不本意ながら自ら証明していたし、それはコウテカにも言えることだった。コウテカもまた、英語タイトルのほうが多かったが、やっぱりピンとこないものばかりだった。
まあ、そんな瑣末なことはどうでもよい。
ねえ 君は
この場所でいつかね歌ったこと全部捨てるの
ねえ 僕は
この場所でいつかね歌ったこと全部捨てるよ

それでも 行かなきゃ
それでも 笑わなきゃ
俚諺にあるように、虎は死して皮を留め、人は死して名を残し、アイドルは消えて音源を残すのだ。
あと、ラップパートでいえば、
冒険中でもスローペース
確かに僕らは肯定する
を唄っている子の声が好き。ハードなフロウスタイルではないのだが、別にハードだからよいってわけでもないし、むしろこういう甲高いアニメ声のラップこそアイドルでしか聴けないので、たのしい。それに、声色の暢気さにくらべて唄っている姿が必死で、それが胸を打つ。それを観た瞬間(今年の元日のことだった!)から、「ああ、この曲はきっと2017年のトップ3に入るんだろうなあ」と思っていた。

【1位: sora tob sakana - ribbon

年間ベストはこれ。まあとにかく拍子がややこしい。6拍かなと思ったんだけれど、それでもピンとこない。ポリリズムだと解しているブログ記事なんかもあって(そこではなんと菊地成孔のお墨付きがついている!)、そのリンクを貼りたいくらいだけど、僕自身が記事の意味を完全には理解できていないのでやめておく。だいたいポリリズムって、ひとつの曲のなかで複数のリズム(複数<poly>のリズム<rhythm>だから)が同時に走っているものかと思っていたよ。その解釈が合っているのか間違っているのかもわからない……。
それはともかく、その複雑なリズムが疾走感や焦燥感をつくりだしていて、そこにイノセントな声がユニゾンで乗る。このまっすぐな声の持つごくごく僅かな震えのようなものが彼女たちのアイドルとしての時間を切り取って見せてくれている。いまこの瞬間にも手のひらからこぼれ落ちていきそうで。
歌詞も当然のようにすばらしい。旅立ちと郷愁とのあいだに、清澄な風景描写が挟まれる。
白く霞む夜明けに列車は走る
地平線追い越して
これだけでも美しいのに、後半は聴く者をさらに想像の世界へと誘う。
星の川をまたいで列車は走る
宇宙を結ぶリボン
忘れられた無数の物語が
虹に変わって私に手を振った
ああ、これで「リボン」なのか、と圧倒される。そして、冒頭の一節がリフレインされておしまい。
耳を澄ましたら 聞こえる
流れる時間の一粒が
この叙情。この洗練。この調和。美しく鑑賞に足るアイドルソングの極北。完璧だ。『銀河鉄道の夜』ライクなMVの効果も大きい。

【後記】

つーことで、こんな結果になった。
  1. sora tob sakana - ribbon
  2. 校庭カメラガールツヴァイ - Lonely Lonely Montreal(LIVE)
  3. フィロソフィーのダンス - ダンス・ファウンダー
  4. MOSAIC.WAV x 夢眠ねむ x 夢眠ネム - あるいは夢眠ねむという概念へのサクシード
  5. ゆるめるモ! - モイモイ
  6. lyrical school - つれてってよ
  7. BiS - I can't say NO!!!!!!!
  8. TWICE - TT
  9. Negicco - ともだちがいない!
  10. 石野理子(アイドルネッサンス) - 道(LIVE)
  11. BiSH - プロミスザスター
  12. Task have Fun - 3WD
  13. GANG PARADE - Plastic 2 Mercy
  14. アイドルネッサンス - Blue Love Letter
  15. Yunomi feat.TORIENA - 大江戸コントローラー
  16. まねきケチャ - 冗談じゃないね
  17. 虹のコンキスタドール - LOVE麺 恋味 やわめ
  18. SAiNT SEX - WACK is FXXK
  19. Passcode - Same To You
  20. MIGMA SHELTER - Svaha Eraser
  21. DEVIL NO ID - まよいのもり
  22. KissBee - どっきんふわっふー
  23. Q'ulle - DON'T STOP
  24. キャンディzoo - 結晶
  25. 吉田凜音 - りんねラップ2
  26. 宗教法人マラヤ - GET UP!解脱
  27. ・・・・・・・・・ - スライド
  28. テンテンコ - なんとなくあぶない
  29. ROSARIO+CROSS - HELLO!未来
  30. ぜんぶ君のせいだ。 - わがまま新生Hominina
そして次点が、THE 夏の魔物 - 僕と君のロックンロール

気楽に始めたけれど、30曲も選んで疲れた疲れた。去年はこんな感じだった。
来年はもうやらないぞ。

編集
今年のアイドルソングトップ20を挙げる前の番外編、そのラスト。アイドル初心者なんで、よく知らんで書いとります。

でんぱ組.inc - WWDBEST
いやいやいや、これって2016年の年末近くに出たやつで、今年の楽曲じゃないじゃんって自分でも思う。
うん、でもこの曲、いまだに芯の部分を聴いてはいないのだ。

そもそもいつ聴けるようになるのか。
どうだろう。最上もがが8月に脱退(卒業じゃない!)して、そのことはやっぱり昨年末の、というかこのWWDBESTが出る前あたりから予想されていたことではあったけれど(そしてこの「BEST」は解散するからこその集大成としての「BEST」なんだという見立てもかなり広く普及していたところであったけれど)、いざ事実として発表されると、なんだか心にぽっかりと穴が開いたような……となかなかならなかったところに、僕なりの事態の深刻さがあって、つまり、泣いたり、喪失感を覚えたり、その他ヲタクやファンであれば当然に感じるような心の痛みのようなものを自分のうちに明確に把握できずにいて、そのことに戸惑いを感じたくらいだった。
それほど思い入れのないグループであったりしたのなら(たとえば前述のリリスクとか)、いっそ気軽に涙したりして、「うーん、青春だなあ」とか思えるのだけれど、でんぱ組はアイドル好きになるきっかけのひとつだったのでやはり思い入れが強く、だからこそ、「でも現場に行ってなかったし、なんかファンというのにはおこがましいな」という遠慮がつねにつきまとっていて、しかし今回のもがちゃん(以下は愛称で書く)脱退の件ですくなくとも6人でんぱの現場に行くことは永遠にできなくなったので、「遠慮」がしこりとなり、これで僕はでんぱ組のファンになることは永遠にできなくなった(※これは自分のなかでの永久欠格意識についてのことで、他人についてどうだこうだ言うものではない)。
そのような中途半端な人間が、『WWDBEST』を聴いてもいいものかどうなのか、迷いに迷って、いまだに流し聴きしかできていない状態。

この曲が最高の曲なのかどうかっていうと、僕のなかではたぶんそういうことはないのだが、しかし、ひとつの区切りの曲であることはたしかだ。
もがちゃん脱退で、でんぱ組の曲はかなり制限がかかってしまうことになる。代表曲である『WWD』や『WWDII』は、もがちゃんが出てくるパートが重要で、というか、ひとりひとりが重要で6人のうち誰が欠けてもいけないというのがもともとのコンセプトなはずだ。『おつかれサマー』では各メンバーの名前の読み込みがあることを考えれば(もがちゃんの場合は「どこまでもがー」だったかな)、やっぱり難しくなるし、『オレンジリウム』でのソロパートはもがちゃんじゃなくちゃダメなんだよ。もうこれはめちゃくちゃ強調するけれど、彼女のちょっとたどたどしいヴォーカル(こういうのを「せつない」と表現した松岡茉優はえらい)だからこそあのパートに映えるのであって、あれこそがオレンジリウムの醍醐味なのよ。
……と、緻密に検証したわけじゃないけれど、ざっと思いつくだけで代表曲がこんなに唄えなくなってしまう。となると、今年の1/20以降、実質の活動休止状態がつづいている、というのも納得がいくというもの。じつにさみしいことだが。


その1/20の武道館(2回目)のライブを今月になってやっと観ることができた。9月にBDを購入したのに、観る覚悟ができるのに3ヶ月かかった部分もある(半分くらいは、仕事の忙しさから)。
いやあ、つくづく名曲が多いなと思った。なんといっても、たのしい。生バンドの演奏もとてもいいし、パフォーマンスとしても相当に洗練されている。アマゾンレビュー(ふだんはこんなの読まないのだが、ファンの人はどう思ってんのかなーとすこし気になって読んだ)に歌唱力の低さうんぬんをしているのがあったが、「なに言ってんだこいつ」と思った。歌唱力はアイドルの絶対条件じゃない。ルックスもそうだし、ダンスだってそうだ。そんなのはとても瑣末なことで、そういう細部に拘泥するのならアイドルなんてたのしめるわけがない。
余談だが、桂ざこばの落語を評して「上下の振り分けができておらず、ひどいレベル」みたいな批判を目にしたことがあるが、これまた「なに言ってんだこいつ」と思ったことがある。ざこばの落語のあのえもいわれぬたのしさ、生まれというものに縛られていた時代の哀しさ、必死で生きている人間のつくりごとではない切実さ、をまったくわかっていないとは。ざこばは名人だぞ。
脱線した。
ともかくたのしいライブだったのだが、けれどもやはりどこかで彼女たちは「終わり」か、あるいは「終わりのはじまり」のようなものを感じているように僕には見えた。
その象徴が『くちづけキボンヌ』のなかの、
草木のしずくに 学校や友達
すべてがずっと続くと 誰もが考えてた
というパートをりさちーが、
草木のしずくに 学校やでんぱ組
すべてがずっと続くと 誰もが考えてた
とアドリブした部分で、ここには胸を衝かれた。
僕は、その後(1/20以後)になにがあるのか、もっと言えばその武道館のアンコール前(厳密にいえば『WWDBEST』前)のMCで、活動の予定が立っていないことが発表されることを知っていたわけだが、それを知っていた僕でさえ、「うわっ」と声が出てしまうほどのアドリブだった。メンバーがそのアドリブがあることを知っていたかどうかはわからないのだが、そのあとのピンキーのパートのとき、彼女が顔を上げられずいかにも胸が詰まってしまっている様子が窺えた。

前述したように、MCパートでみりんちゃんが活動未定のアナウンスを出すのだが、観るとそれほど悲観的には思えない――悲観的にとってはいけない、というような雰囲気だったともいえる。それはおそらく彼女たちがいつでも希望を提示していたことと無縁ではないのだろう。
でんぱ組のライブのすばらしいところは、エンディングは必ず明るく希望のある曲がかかるという点だ。泣いてしまうところもあったけれど、最後はたのしい話をして終わろうね。そういうメッセージがライブ全体を通して感じられるのだ。
だから、みりんちゃんの言った、アイドルにとっては致命的なインフォーメーションも、(悪い言い方をすれば)うまく丸め込まれてたいしたことのないように受けとった人たちもけっして少なくなかったと思う。すくなくとも、現場にいた人たちのなかでは。
でも、現実は残酷だった。悲観的な人たちの予測のほうが的中してしまい、解散はしていないものの、いまだに予定が立っていない(はず)。

最初のほうで書いたとおり、僕はヲタクでもファンでもないので、彼女たちに幻滅したり失望したりしないし、ありえない希望を託すこともない。ただただ、メンバーのみんなが幸せになってほしいだけだ。
脱退した人も、残った人たちも、みながみな、自分の幸せをつかんでくれたら嬉しい。陳腐な言い方になるが、それ以外に望むことはない。
ちなみに、今回の武道館ライブの最後の最後の曲は『Future Diver』で、5年以上も前にリリースされた曲をいまだに大事に唄いつづけていることにも感心してしまうが、けれども選曲の理由は懐古主義からではなく、やはりその内容に拠るのだろう。
歌詞中にある「夢で終わらんよ」をその言葉どおりに受け取るべきだ。熱狂的なファンほど「もう夢は終わったんだよ」と悲観的になってしまうかもしれないが、それはその人の夢が終わっただけで、彼女たちメンバーの夢とはまた無関係だ。それに、夢が変化することだって当然ある。
もう6人ではなくなってしまった。残った5人で活動することも、もしかしたら難しいかもしれない。けれども、たったそれだけのことをとって、彼女たちの人生すべてが終わってしまったかのように思い込んだり、そう表現したりするのはどう考えたって間違っている。これはでんぱ組に限った話じゃないけれど。
もう一度繰り返すけれど、僕はヲタクでもファンでもないので、彼女たちに幻滅したり失望したりしないし、ありえない希望を託すこともない。ただただ、メンバーのみんなが幸せになってほしいだけ。


あ、もうひとつ余談を。
僕はときどきプレイリストをつくって、それをウォークマンに入れて仕事中聴いているのだが、8月の末ごろ(もがちゃんの脱退発表が8月6日あたりだった)、『あした地球がこなごなになっても』をそのプレイリストの最後に入れておいて、自分がどんなリストを組んだか忘れるために、わざと2週間ほど置いてから再生してみた。

内容をほとんど憶えていないプレイリストが再生され、そのまま1時間ちょっとが過ぎ、エンディングになった。
そのイントロがかかった瞬間、涙が流れた。
そのときはじめて、心のなかの氷がすこしだけ溶けた気がしたのだった。

編集
今年のアイドルソングトップ20を挙げる前に番外編を3つ挙げるつもりなのだが、今回はその2つめ。ちなみに、アイドル初心者のたわごとです。

ベイビーレイズJAPAN - 夜明けBrand New Days@TIF2017
去年につづいてまたベビレ持ち出すのかよ、しかも同じ曲かい!ってツッコミは自分でしてしまうくらいだけど、まあ『夜明け』なんだよな。

ぜんぜん知らないで書くけれど、去年のTIFの『夜明け』の最中に、一部のヲタクがサイリウム投げという危険行為をおこなって、彼女たちがたいへん悲しんだ。そういうことがあったため、翌月末くらいに出演した@JAMのステージでは、わざわざ曲を始める前に、「気持ちは拳で伝えてほしい(≒サイリウムを投げないで)」と明言したのにもかかわらず、一部のアホがやはりサイリウムを空中に放り投げてしまったおかげで、彼女たち全員が号泣したという事件があった。
もともと僕は、でんぱ組の『くちづけキボンヌ(6人ver.)』のMVにおける、ヲタクの視界や、その奉仕するような姿勢などに感銘を受けてアイドルに興味を持ち始めたクチなので、アイドルを意図的に傷つける悪意というものを目の当たりにしてしまったことで、僕自身がショックを受けてしまい、彼女たちがワンマン以外で『夜明け』を唄うことをトラウマにしてしまうんじゃないか、という危惧なども含め、それから3ヶ月間くらい、アイドル関連の情報をほとんどシャットアウトするか、見聴きしても心の中にまったく入ってこなかった(上にリンクを貼った去年のトップ20の記事にもそのことはちらりと触れている)。

まあそういうこともあって、TIFに参加したことなんか一度もないくせに、「今年のTIFのベビレはやっぱり『夜明け』をやれないんだろうなあ」なんてことを思っていたら、まず、その日の夜くらいだったか「解禁した!」みたいな情報が入り、それから別の動画(後述)を知り、YouTube上に早く「本篇」がアップされるのをいまかいまかと待っていた。
あたりまえのことだが実際のパフォーマンスはとてもすばらしいもので、やはり何度も何度も再生し、そのたびに熱く込み上げてくるものをこらえることはできなかった。
動画でも確認できるが、イントロの始まった瞬間、観客のどよめきが会場全体にすばやく広がっていっている。あとで知ったことだが、やはり多くのファンも、「『夜明け』はやらないだろうな」と思っていたらしい。もちろん、やってほしいという希望はみなが持っていただろうが、と同時に、今度トラブルが発生したらなにかとんでもないことに発展してしまうんじゃないかというおそれを僕と同様に持っている人は少なくなかったんじゃないか。
けれども、『夜明け』は唄われ、現場の虎ガー(ベビレのファン)たちは心の底から「イェッタイガー」を叫んだことだろう。
傷ついたヒロインたちは逃げることを選択せずに、1年後、同じ場所(厳密にはTIF内の別のステージだけど)に立って同じ歌を唄うことによって不安や恐怖を克服したわけで、この物語はまるで少年マンガだ。

「不安や恐怖」だなんて、なんて大げさな、と思う人もいるかもしれない。けれども、@JAMで行われたサイリウム投げには、「面白かったらいいじゃないか」程度の浅ましい自己顕示欲が、演者に対する敬意を完全に上回ってしまっている構図がはっきりと見てとれたし、そういう括弧つきの「悪ふざけ」はすぐに拡散してしまう、というおそれは本当にあった。
その「事件」に対し、多くの人間はベビレ側に立って同情していたが、一部の連中からは「そんなことくらいスルーできなくちゃ」とか「パフォーマンスのレベルが低いからだろ」などという、心ない意見も出ていたのだ。信じられないことに。
真面目な意見に対して、まともに取り合う必要のない支離滅裂な意見、あるいはまったくの虚偽をあえてぶつけることによって、二元論的な関係性を擬似構築する、というのはネットでもたいへんよく見られる現象(?)で、その効果による利益を最大限に享受したのは、誰であろう、米国大統領のトランプだ。彼は、大統領選における嘘と扇情的なパフォーマンスによって、米国大統領たる人物として、すくなくともヒラリー・クリントンと同等であるように見せかけた(この「両論併記」によるメディアの報道を痛烈に批判していた経済学者がいて、たしかノーベル賞受賞者だったはずだけれど、記憶不確か)。
話は逸れてしまったが、まとめサイト(といっても、アイドル関係のまとめサイトは僕も閲覧している……)などが面白がって両論併記することによって、まるでベビレ側を批難するのにも一理あるように見てしまうユーザーもなかには出てくる。そうすると、「目立ったもん勝ち」「悪ふざけしたもん勝ち」の世界にますます傾く可能性があり、僕のようなアイドルとヲタクとの関係性に聖性を見出そうとしているある種の神秘主義者にとっては、あまり好ましくない状況になってしまう。
かなりバイアスのかかった見方をしているというのは重々承知のうえで書くが、アイドルとヲタクとの小さくも美しい関係性を乱すノイズが、AKBや欅坂などの大手メジャーではないところにまでも侵犯してくるのだとしたら、ベビレだけに限らず、マイナーなアイドル業界はやがて崩壊していくのではないかと思っている。観客が演者を褒め称え、愛することによって成り立っているところへ、匿名的な手法に基づくいわば「無敵」の状態で貶し、嘲笑うほうがラクだという人間が増えるからだ。
愛することより貶すことのほうがコストは低く、得られるカタルシスが同程度というのなら、後者を選ぶ人間のほうが増えるというのは経済学を持ち出さなくても理解できることだ。

話を戻そう。
とにかく、彼女たちは復活したのである。自ら封印していた楽曲を自分たちの手で解放してやった。物語は、より強く美しい物語となり、その大きさが彼女たちのパフォーマンスにもきっといい影響を与えることだろう。
一方、このTIFの広い敷地のなかで、こんなことも起こっていた。
同日同時刻、ベビレの『夜明け』が聞えてきたために、急遽若いヲタク連中がその場にわらわらと集まってきて、遠く離れているステージに向かって「イェッタイガー」を叫んでいる。夕刻の斜光も相俟って、これぞ青春といった感じである。
だが一方で、こういう若い人たちのなかにも、去年の『夜明け』でサイリウムを投げた人間がいるのだろう、という見方もできてしまう(この人たちがそうした、と言っているわけではない)。僕がまったくの素人で、しかもそれなりに年をとっているからこそ、そのようにも考えてしまうのだが、集団で起こしたアクションが、たまたまいい方向に発露すれば上の動画のような爽やかなものになるし、悪い方向に発露すれば、意図的なサイリウム投げに発展する。
願わくは、すべてのアイドルファンの行動が前者になりますように。
遠くから聞えてきた楽曲のためにみなが集まり、大きな声を上げてそれでも相手側に聞えるかどうかはわからない声援を送るだなんて、ほんとうにすばらしい時間を満喫しているな、と羨ましくさえ思う。現場に行ったことがないので本来ならそんなことを言える資格はないのだが、幾人かが、今年のTIFのベストシーンにこの動画(ベビレ本体ではなく、若いヲタクたちのほう)を挙げていたのについて、率直に賛同する。

余談だけれども、『夜明け』を知ったきっかけは、「生ハムと焼きうどん」と「せのしすたぁ」との対バンで、(出来レース的な意味での)プロレスをしたあと〆としてこの歌を唄った、というのをどこかで見聞きして、興味を持ったのが始まりである。
その「生ハムと焼きうどん」も、今年あたり大いにブレイクするかと思いきや、内紛(?)によって解散だもんなあ……。

編集
最初に断っておくと、アイドル初心者で右も左もよくわからない状態で書いています。

今年のアイドルソングトップ20を挙げる前に、ランキングには入らない、いわば番外編のものを3つ挙げておきたいが、まずはそのひとつめ。

lyrical school(旧体制) - サマーファンデーション
今年の2月26日に、メンバー5人のうち、オリジナルメンバーだった3人が脱退するというその最後のライブがあってそれをネットで観たのだが、すばらしく感動的なライブだった。
それまでリリスクは、「お、けっこういいじゃん、でも以前のライムベリーのほうがよかったなあ」くらいの認識だったのが、このライブで、180度それをあらためた(言い訳しておくと、先に空中分解してしまったのはライムベリーのほうで、だからこそ、終わってしまったもの・いまはすっかり変わってしまったものを懐かしむという姿勢からライムベリープッシュだったわけだ)。
昨年11月に出たアルバム『guidebook』は、ものすごくできのいい大名盤なのだが、それを聴いているときすらもあくまで音源として「いい」と評価しているだけで、むしろ「ライブはちょっと劣るだろうから……」と避けていたのだった。
それがどうだ。実にすばらしいのである。脱退するメンバーたちの生命エネルギーのほとばしりや、消え行くからこそよけいにその強さを増す煌めきのようなものが横溢しているということも多分にあったが、ただそれだけではない、いままさに奇蹟を目撃しているのだという瞬間がいくつもあった。

たとえば『ワンダーグラウンド』にあった、
大丈夫12時になっても
とけない魔法かけたから
楽しもう今日は今日だけだから
というフレーズの、あつらえ向きかげんといったらどうだろう!
あるいは、『おいでよ』の、
おいでよ パーティへいそごう
君と僕だけがかかる魔法
にある「パーティー」がこのとき・この場所を指していなかったとしたら、いったいなにを信じればいいのだろうか?
マジックアワー』で連呼される、
1分1秒でも長く長く
という言葉には、そもそも設定されていた「恋人同士の想い」を超越した愛――アイドルとヲタクというだけでなく、輝き燃え尽くそうとしている者たちとそれを見届ける者たちとの連帯感のようなもの――がたしかに含まれていたに違いないし、『サマーファンデーション』の、
多分だけど絶対今日のこと
ずっと忘れないと思うんだ
はその宣言にほかならなかったはずだ。

このように、他愛ないものだと受け取られても仕方のないような平易な言葉のなかにも、美しい符合があった。それらすべてが指し示していることはただひとつ、「きょうで終わってしまうんだ」ということであって、そのことが、唄っている者と聴いている者との心を締めつけていた。美しくも、悲しい瞬間が刻々と迫っているのだった。
けれども。
ラストの曲ではないものの、上に挙げた楽曲すべてのあとに『RUN and RUN』があった。
「スマホがジャックされる!?」と一般にも話題になった動画で有名な楽曲(なにせ、弟の彼女が家族専用のSNSを通じて「こういう動画知っています?」と知らせてきたくらいに有名だったわけだが、当然僕は、「知っているもなにも……」で始まる厭味ったらしい数行を披瀝して、たぶん顰蹙を買った)だが、動画のアイデアが秀逸だったせいで、歌が二の次でしか聴かれていないのが本当にもったいないと思う。
このなかで彼女たちは、こう唄っていた。
大丈夫想像してもっと楽しくなるはずって
all right!
聴こえてるといいな 君の所にもこの声が
(中略)
昨日の私とはサヨナラね
明日の私へ会いにいくから
さぁみな RUN and RUN!
「私たち」の前にあるのは終わりじゃなくて、それは新しい始まりなのだ、と。
もっと楽しいことが起こる未来の始まりにいま立っていて、「私たち」も「あなたたち」もそれを目撃しているところなのだ。だから、なにも悲しく思う必要はない。おそれず、ステップを踏み出そう。

長年彼女たちを応援しつづけたヲタクたちがどう感じたか、それを忖度する資格も能力も、僕にはない。僕が思うのは、7年間の活動の歴史のなかで、ある未来の一点上に存在する自分たちとその場に立ち会うであろうヘッズ(リリスクファン)たちとに向けた歌詞やそれらを包括する物語が、長い時間をかけて紡がれていたということを、彼女たちはその過程で知っていたのだろうか、ということだ。
言葉や歌による極上の織物がある一日のために向けて織られていたわけだが(ある一日のためだけではない、と強く註記しておく)、それらはそのまま、彼女たち自身への最高の贈り物となった。

しかしそうは言っても、僕自身はこの動画を観るたびにやっぱり泣いていた。誇張じゃなく、たぶん3月いっぱいくらいは涙を流しながらディスプレイにかじりついて、この動画ばかりを観ていたんじゃないか。
『まちがう』のなかで、辞めないで残るほうのメンバーのminanが担当パートの、
がんばろうわたし
イヤなことばかりじゃないし、たのしいことを探していく毎日
の部分にさしかかったとき、目にいっぱいの涙を溜めたまま、胸が詰まって唄えなくなってしまうのだが、ここは何十回聴いても泣いてしまう。「たのしいこと」がまさに終わっていこうとするその瞬間、その場に残って見送る者の心境としては正反対の歌詞ともいえる。
つまりなんだかんだいって僕も、卒業するアイドルを見送るファンの「正しい」ありようというようなものを、猿真似ながら初心者なりに踏襲していたということだ。

すくなくともいまのアイドルっていうのは、文脈をたのしむコンテンツだ。どれくらいコンテクストを理解しているかで、たのしめる深度が異なってくる。理解が浅いのが悪いっていうわけではけっしてないけれど、深いからこそその滋味を味わえる部分がある。これは人間理解そのものと通底していることだろう。
残念ながら僕は理解が浅く、多くのアイドルたちを、彼女たちが去ったあとになってから知り、そして好きになることが多い。たしか村上春樹の小説のなかに、「死んでしまった人たちのことは許せるから」というようなセリフがあったように記憶しているけれど、まあそれに近いのかもしれない。
しかし知ったかぶりをするようだが、アイドルの本質は、自分の人生の一部をなげうつことによってはじめて得られる輝きのなかにこそある。額縁のなかにきれいに収められ讃え祀られることにあるのではないのだ。
僕は、この2月26日の時点をもって、リリスクは終わったのだろうと早合点していた。時をしばらくおいてから新体制が始動するというようなアナウンスメントがたしかそのときにもあったように思うが、それを信用していなかった。ここらへんがまったくド素人だと自分でも思うのだが、額縁に入れることで満足しようとしていたのだった。
しかし、7月にリニューアルしたリリスクが『夏休みのBABY』をリリースしたとき、その考えのクソみたいな浅薄さがめちゃくちゃに破壊された。
最高が更新されていたのだが、それについては、また別の話。

編集
今年2回目のウイルス性胃腸炎らしきものに罹って一日半寝込んでいたのだが、ようやくのことで起き上がれるようになった。こういうときは有意義なことに時間をつかいたいと思い、僕が今年聴いたアイドルソングのトップ20をつくった。なお、 2016年以前リリース曲も多いが、「今年聴いた」に眼目があるのでランキングに入れている。

  1. アイドルネッサンス - 君の知らない物語
    ベイビーレイズJAPAN - 夜明けBrand New Days

  2. STEREO JAPN - Dancing Again
  3. BELLRING少女ハート - asthma
  4. Berryz工房 - Love together! @ラストコンサート2015 Berryz工房行くべぇ~!
  5. はちきんガールズ - 雨のスクリーン
  6. アイドルネッサンス - シルエット
  7. 姫乃たま - ねえ、王子
  8. 里咲りさ - Little Bee
  9. わーすた - いぬねこ。青春真っ盛り
  10. PASSPO☆ - Mr. Wednesday
  11. BiSH - オーケストラ
  12. おやすみホログラム - 11
  13. 虹のコンキスタドール - ↓エイリアンガール・イン・ニューヨーク↑ 
  14. わーすた - うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ
  15. Fullfull☆Pocket - 流星Flashback
  16. BiS - BiSBiS
  17. バンドじゃないもん! - キメマスター!
  18. 絶対直球少女!プレイボールズ - 内野でも外野でもいい球場へ連れて行ってね
  19. Q'ulle - ALIVE
註として、1位は2つ。あと、あまり意識してはいなかったのだが、1つのアイドルにつき1曲みたいな感じになってしまっているけど、アイドルネッサンスとわーすただけ2曲づつをランクインさせた。いづれにせよマニアでもないので、よく聴いた、たのしんだ、というものを並べただけ。

#01 アイドルネッサンス - 君の知らない物語
聴いた瞬間に、「あ、今年ベストだな」と思った。公式のMVもいいけれど、メンバー自身がMVを初めて見たときの動画が好き。これだけで10回以上は再生した(そもそもアイルネを知ったのは、この「MV初見動画」に感動したから)。こういうのを観て、彼女たちの感動を追体験し、自分たちからとてつもなく遠く離れているのではなく、ちょっとだけ先に進んでいる存在として認識できるのがいい。

#01 ベイビーレイズJAPAN - 夜明けBrand New Days
『君の知らない物語』がベストだと思っていたんだけれど、ひょんなことからこの曲の存在を知って、9月くらいからこれにハマりまくった。CDにある音源より、ライブ音源のほうがなおいい。ニコ動にあった「最新が最高」というコメントにも大いに同意するし、大サビの前のイェッタイガーはほんと気持が盛り上がる。ただ、9/25だったかの@JAMの件があって以降、この曲を聴くとメンバーの気持のことを考えてしまって、ひたすら辛い。この辛さが昂じてアイドルソングを聴くことじたいからちょっと遠ざかってしまったのも事実。

#03 STEREO JAPN - Dancing Again
公式MVもいいのだけれど、ステトーTOが77kmを走るというunofficialの動画も非常にいい。この動画のおかげでTOという言葉を知ることもできた。しかしこの曲はほんと名曲で、何十回リプレイしても聴き飽きない。そもそも、「ほら、こんな曲がアイドルソングとして売れるんでしょ」的につくられた曲でそれを隠してもいないらしいが、みごと思う壺にハマっているのであった。

#04 BELLRING少女ハート - asthma
ベルハーは歌うまくないし、いまいちだよなあ、とは思っていたのだが、TIFの動画(12:44~)をたまたま観て、カッコイイ!と思ってしまい、そのアングラ感、カオス感にしびれて、そこから価値観が180度転換(ただし、ベルハーとベビレでは価値観が違うのだから、客のほうはそこをわきまえなければならない)。いまのアイドルブームの終焉が来たとして、そのときに流れるのはこの曲かもしれない、なんて思っている。聴いてすぐに「いいな」って思えるのは、Coldplayの"Vive La Vida"に似ているからだと思うけどね。

#05 Berryz工房 - Love together! @ラストコンサート2015 Berryz工房行くべぇ~!
これは「真夜中のニャーゴ」の2015年の総括をやっていた特集で知ったもんだから、一年遅れということになる。これと、次のはちきんの『雨のスクリーン』もそう。 僕はこれまでベリーズ工房まったく知らなかったんだけど、この動画はさすがにグッとくるものがある。この曲も、ふだんとはまったく違うヴァージョンっぽくて、お客さんのコールも戸惑いつつまとまっていくというところがとてもリアル。歌詞も、ラストにふさわしい。

#06 はちきんガールズ - 雨のスクリーン
2015年もいろいろあったけれど今年になってさらにあったはちきん。ガールズっていってもひとりだもんなあ。ローカルアイドルもたいへん……だけどこの曲はいい。みんな歌がうまくてハーモニーなんかも抜群。いま聴くとよけいにさびしい気持ちになるな。OfficialでMV fullはないんだけど、アイドルってMVはフル尺でアップしたほうが絶対得だと思うんだよね。ショートヴァージョンでいったい誰が得をするんだ。

#07 アイドルネッサンス - シルエット
これは音源的にいえばカップリングなんだけど、ライブでは非常に盛り上がるらしく、セットリストの要にあるみたい(現場に行ったことがないので断言できないけど)。なのでYouTubeではライブ版しかないんだけど、上にリンクを張った7/16のものがいちばん気に入っている。イントロからしてスーパーかっこよくて、こういうのを観ていると特に、(僕のなかの)アイドルのいちばん大切な要素って「カッコイイ」ということに気づかされる。

#08 姫乃たま - ねえ、王子
これ、いつのかと調べたら2014年。なにがいいかって、サウンドがファミコン版グーニーズっぽいんだよね。あと、FFのクリスタルっぽさもある。つまり、すっごく懐かしいサウンドってこと。歌詞世界もなんだかいいんだよな。ユーモアと、でもどこかに切実さもある。

#09 里咲りさ - Little Bee
最近YouTubeにアップされたものについてはピンとこなかったけれど、まあ里咲りさはだいたいいいよね。わりとハードめな曲調のものもあるけれど、こういうかわいらしい舌っ足らずな感じの曲もうまい。応援したくなる。

#10 わーすた - いぬねこ。青春真っ盛り
これは去年のアイドル楽曲大賞(インディーズ部門)で、1位を取ったことで知って、すぐに聴いて「ふうん」という感想しか持たなかったんだけれど、何度も再生しているうちにだんだんと頭から離れなくなってしまい、結果、ものすごく気に入った曲。振り付けも面白く、MVやライブ動画も漁ってしまった。なお、アイドルMV全般において、メンバー個人個人のバストアップ(バストのアップ、ではない)のシーンは好きじゃない派です。徹頭徹尾、振り付けを観たい。ちょっと見方間違っているのかもしれないけど。

#11 PASSPO☆ - Mr. Wednesday
なので、彼女たちには申し訳ないのだけれど、この歌(やグループじたい)の魅力をもっともよく伝えるのはDance Shot Ver.だと思うんだよね。さらに言うと、メンバー自身の「踊ってみた動画」がもっといい。チア系のダンスもそうだけど、全体的にアメリカンな雰囲気があって、なかなか独自色があると思う。

#12 BiSH - オーケストラ
やっぱり松隈ケンタの曲はカッコイイなって思える曲。『KiLLER BiSH』もいいアルバムだった。このサウンドの疾走感のなかで、ヴォーカルが次々と交替して唄っていくのがBiSHとかBiSのカッコよさなんだと思う。

#13 おやすみホログラム - 11
「11月がやけに優しくてまいるな」っていうこの歌詞だけで、頭をガーンと打たれる思いだった。他のアイドルたちと違って、ここだけはライブ動画を観る気にまったくならないってのはどういうわけだ(好きな人は好きみたいだけど)。いや、その理由はきちんと説明できるんだけど、まあこの曲はいい曲なので。というか、他にも『エメラルド』とか『ニューロマンサー』とかいい曲は多い。

#14 虹のコンキスタドール - ↓エイリアンガール・イン・ニューヨーク↑
Official MVもいいんだけど、ライブ動画もいい。あと、歌詞がきちんとネット言語を翻訳しているなと感じさせる部分があって、そこがいい。そのかわり、耳で聴いていてもなにがなんだかわからない部分が多いんだけど。

#15 わーすた - うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ
これも耳から離れなかったな。RPGをメタフィクション的にパロディにする、ってやり方がこのときは面白かった(『完全なるアイドル』のメタ感は、ちょっと失敗している気がする)。アルバムを聴いてわかったのは、このグループってわりと本格的にヴォーカルを聴かせる方向も意識していて、それでツーヴォーカル体制を取っている(いた?)と思ったんだけれど、お客さんのことを考えると、やっぱり全メンバーに歌を割り振ったほうがいいと思う。

#16 Fullfull☆Pocket - 流星Flashback
たまたま知った曲。この曲も、忙しくてイヤになったときとか、夏の朝4時前なんかに起きたときに聴くと、頭や身体が目醒める。他のアイドル曲もそうだけど、基本的にはバラードよりは、ダンサブルな曲に毎年助けられていると思う。そういう意味じゃ、合法的トビ方(©Creepy Nuts)をしているということになる。これは大袈裟じゃなくて、ほんとうの話。

#17 BiS - BiSBiS
Officialにアップされている動画ではプールイしかヴォーカルを取っていないが(それもそのはず、これが公開されたときには新生BiSの他のメンバーは決まっていなかったのだから)、ニューアルバムの『Brand-new Idol Society2』にはメンバー全員でヴォーカルを割り振っている曲があって、そっちのほうがやっぱりいい。ごった煮感がBiSには合っているということなのかな。

#18 バンドじゃないもん! - キメマスター!
去年あれだけ聴いたでんぱ組.incについてまったく触れていないけれど、でんぱっぽい曲といえば、この曲が代替してくれているんじゃないだろうか。ごちゃごちゃしている歌詞、そして衣装。こういうのにまったく慣れてしまったもんだから、おそろしいものだ。

#19 絶対直球少女!プレイボールズ - 内野でも外野でもいい球場へ連れて行ってね
野球とアイドルっていうコンセプトの目の付け所はいいと思ったんだけれど、いかんせん2年くらい出てくるのが遅かったのでは、とつくづく惜しい。コンセプトのせいか野球にからめた曲が多いみたいで、なかでもこの曲は、球場と恋愛を等価において唄っているのが非常に興味深かった。ベイスターズのTVKとかマリーンズの千葉テレビとかにテーマ曲として使ってもらえればよかったのにね。

#20 Q'ulle - ALIVE
まなこさんの踊ってみた動画で知ったクチ。ようかい体操の人とかJAの年金の人とかいえば、思い当たる人もいるのでは? で、聴いてみたキュールのこの曲だが、意外にハードなEDM系の音楽やっていてカッコイイなと思った。やっぱり、カッコイイは重要。


ベビレのところでも書いたけれど、10月頭くらいからちょっとアイドルそのものから離れていて、そのおかげというか、あまり熱を込めて漁っていなかったけれど、ほんの最近まで欅坂の『二人セゾン』とかNegiccoの『愛、かましたいの』とか全然聴こうとしていなかった(聴いてよかった)し、新生BiSのニューアルバムもよかったし、ギャンパレが『Plastic 2 Mercy』(名曲なのは知ってる)リリースしたりとかで、いろいろとチェックしなければいけないのがあるんだけど、それは来年に回す。
あと、でんぱについてだけど、4月に出たアルバムはよかったけれどだいたい2015年に聴いていたもの(たぶん)なので、ランクインさせなかった。あと、最近公開されたでんぱの集大成みたいな新曲は、一部の噂を考慮すると、とてもじゃないけれど聴く気になれない。もうちょっと気持が落ち着いてから聴くとする(そういう意味じゃスマップファンの気持はわからないでもないが、署名するのはベクトルを間違えているとは思う)。
まあ、ミーハー的にたのしんでいる素人初心者のたわむれということで。

(追記)
いま午前1時半に書き終えてわかったんだけれども、こうやって夜遅くまで動画漁ってリピートしていたもんだから、たぶん免疫落ちて病気になりまくったんだと思う。 

編集
アイドルの解散といえばだな、去年は(も?)空中分解したグループがいくつかあったわけだよ。
2015年2月、ラップグループのライムベリーは3人のうち、突然、2人+プロデューサーが辞めることになってしまって、残った1人が新しい女の子とユニット組んで、ライムベリーの名前で活動している。辞めた2人のうちの1人は、11月にリリカルスクールというアイドルラップグループ(ラップアイドルグループ?)に加入するというウルトラCがあって、ファンの傷心を9ヶ月ぶりに少し癒やしてくれた。これについては、もっとアツいファンの人たちがブログ等にその思いを書いていることだろう。
また、2015年4月、Dorothy Little Happyという5人グループのうち、3人が脱退するという事件(?)があり、ファンによる5人でのファイナルライブのレポートなどを読んで感動したものだが、残った2人は2人のまま現在も活動しているみたい。

残ったほうがアイドル。そのグループを出たとしてもアイドルをつづけているのなら、それもまたアイドル。
どんなに魅力があっても、どんなに人気があっても、辞めてしまえばアイドルではなくなる。だからといって価値がなくなるというわけじゃなくて、まだ残ってつづけているほうにより敬意を払いたいということ。その敬意の先に好悪があっていい。現に、いまの2人体制のライムベリーでつくった楽曲は、YouTube上で確認できるかぎり最低だと思っている。
で、(これこそが重要なことなんだけど)辞めていった人たちにもいい人生が待っていますように。
あ、以上はぜんぶ女性アイドルの話ね。男は知らん。

事務所とか運営とかが悪い形で目に見えてくる状態ってのはほとんど末期だと思うのだが、いいかげんファン側も、そういうのを見限るようにならないものか。
無邪気にアイドルを信じられた時代なんてもう過去のことで、いまでは、知りたくもないいろいろな事実に目を閉じ耳を塞いでいることが難しくなっている。そして、裏の裏までほじくり返そうとしているのにそれでもイノセントを気取るファンに、その矛盾を指摘したくもなる。
闇は深い、みたいな言い方をするのは簡単だけど、客あっての商売なんだから、いつまでも盲目的に「その場所」に居座りつづけようとする客の心のほうが闇なんだろう。ま、こっちの話は、ほんとどーでもいーんですが。

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過日、どうしても締め切りが迫っていたためにやらなかやいけない仕事を、深夜から始めた。

黙々とエクセルに入力したり、手書きで伝票を書いたりしていると、どうにも眠い。猫がいれば眠気はなくなるのだが、デスクの上をめちゃくちゃにしたり本棚に一番上にのぼって遠吠えをしたりするので、部屋は締め切りにしておいて入らせないようにしていた。

私は作業中に音楽を聴いていてもあまり気にならないタイプで(作業の内容にもよるけど)、集中していれば音楽が耳に入らなくなる。むしろその状態がベスト。

で、とりあえずなにか音楽を聴くことにする。これで落語なんかをかけたらもうおしまいなわけだから、iTunes じゃなくてYouTube で適当なのを見繕おうと思い、「あ、そうそう。MEG のアルバムに『DICOTHEQUE』ってのがあったな。あれの原曲ってどんなのだろ?」というところにまで考えが至ったのが間違い。







水樹奈々は「アイ・カーリー」のカーリー・シェイの声をやっているのは知っていたし、紅白に出ていたのも知っていたが、なんじゃいこのブリブリの曲は……私はこういうのが、大好きです。

おかげで、キャンディーズを知ったために終えた「アイドル求道の旅」を再開しなければならなくなった。



どこが好きなんですか、と真面目に質問されたとすると、別に好きな顔ではない*1し、大好きっていう歌い方ではない。すげーうまいと思うけど。

それでもそんなことより、「アイドルだぜ!」って感じがものすごく好き。私の場合はここが非常に重要なポイントであって、この人は本職は声優なんだろうけど、ちゃんとアイドルしている。私の中では「アイドルする」っていう動詞が厳然とあって、それはどういうことかというと、みんなの妄想や期待をちゃんと一身に受け止めて背負い、それを実演すること。中途半端に投げ出したりしてはいけないのだ。

キャンディーズはそこらへんが完璧で、プロという感じがしたので好きになった。おそらく昔のアイドルは、ちゃんとアイドルしていたのだろう。モー娘やパフィーあたりからおかしくなったのだと勝手に思っている。

あと、この人は笑顔がいい。前言と矛盾するようだが、苦労人の笑顔のように見える。苦労人という言い方がそぐわなければ、「気遣い屋さん」と言い換えてもよい。いづれにせよ、周りに元気を与えるタイプの笑い方かなと思う……と、こういうことを臆面もなく言わせるのが、アイドルの影響力。「アイドル」カテゴリーで今後の更新はあるのだろうか。

とにかく、もう二十回以上は再生した。(同じ曲の)関連動画もいくつか観た。おまけにニコ動の「踊ってみた」なんかも観た。そのおかげで仕事が終わったのが朝の4時半。寝て起きたのが5時45分。おかげで数日はふらふらがつづきました。



*1:好きな化粧法ではない、というのが正確かもしれない。アイラインとマスカラが基本的に好きではない。



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久しぶりにWonder Girls をYouTube で観ていたら、「ん?」と思った。




Be My Baby / Wonder Girls




この曲、2011年に出たアルバムに入っているようだが、このPV の演出方法はビヨンセのある曲に似ている。




Single Ladies / Beyoncé




ま、Wonder Girls、かわいいからいいんですけどね。



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かりそめの恋をする日や更衣




「更衣」は「ころもがえ」と読み、夏の季語。上掲句は、昨年度の全国高校生俳句大会の優秀賞に輝いた青森県の高校2年生(17)の作品。この誰にでも一度はある経験を瑞々しく謳った彼の写真がたまたま手に入ったので、ここに掲載したい。




f:id:todotaro:20110130211908j:image




……えっと、嘘です。

全国高校生俳句大会うんぬんが嘘です。画像は与謝蕪村(1716-1784)。ざっと二百数十年前の作品。恋は普遍なり。



さて、「衣替え」といえば、現代の大詩人も最近その詩の中で触れている。




カレンダーより早く

シャツの袖口まくって

太陽が近づく気配

僕の腕から衣替え




そう、秋元御大である。




ポニーテールとシュシュ / AKB48




相変わらず導入部が長い。ファンじゃなけりゃ辛いな。私は辛い方。



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