とはいえ、わからないでもない

カテゴリ: ぼくはこんな漫画を読んできた

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前回は横山三国志のことを書いたが、おそらくそれ以前に読んでいた漫画が『ゲゲゲの鬼太郎』だった。

子どもながらに、水木しげるの絵はどことなくおかしいと感じていた。

もうとにかく気になって仕方なかったのは、走るときに両手を上げるんだよね。




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ネットに落っこちていた画像。いい感じで両手を上げております。




こんなふうに走る人はどこにもいないのに、水木漫画では当然のように、みんな両手を上げる。

あと、顔なんかもみんな歪んでいる気がする。猫娘なんてちっともかわいくなく、まさに妖怪のひとり。




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ではこれが嫌いだったかというとそんなことはなく、いやもうまったく大好きだった。

母が、水木しげるの漫画は背景がすばらしいと絶賛していたが、考えてみればこれ、つげ義春かもね。




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これは砂かけばばあ(水木しげる)。






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で、これがつげ義春の『ねじ式』。すごく有名なシーンです。




水木しげるがもともと背景を描くのがめちゃくちゃうまかったのか、それともつげ義春がうまかったのか、それは素人の私にはわからないが、関連性はあるように思う。



追記

水木しげるの背景の例で砂かけばばあのものを挙げたが、これはもしかしたら写真をトレースしたものかもしれない。拡大してみなければわからないけど。

昔はそんな技術はなかったのだろうが、たぶんこれは今の絵じゃないかな。



こんな絵で子ども時代を過ごしたものだから、後年、ガロ漫画に触れてもほとんど違和感がなかった。ガロ自体、白土三平水木しげるたちで始まった雑誌だしね。

横山三国志は、私の漫画嗜好になにも影響を与えなかったが、水木しげるの絵にはだいぶ影響を受けたのではないかと思う。鬼太郎も、アニメ版などとは違い、「腹が減ったから養豚所へ行って豚のエサをわけてもらいましょうよ、おとうさん」というくらいのアウトローっぷりで、少しヒネた主人公が好きという私の趣味も、この鬼太郎のスタイルの影響のひとつなのではないかと思う。

そういえば、小学生の頃に買った鬼太郎六冊、いつの頃か捨ててしまったが、渋谷のまんだらけで一冊5,000円の値段がついていたっけ。



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ぼくはこんな漫画を読んできた


立花隆に『ぼくはこんな本を読んできた』という本があって、それを文字って「ぼくはこんな漫画を読んできた」みたいなことをこれからちょこちょこと書いていこうかなと思う。

最初に註記しておきたいのは、私はそれほど「漫画読み」ではない。私の思う「漫画読み」というのは、毎日ブログに買った漫画を数冊づつ挙げているような人で、漫画雑誌も月に何十冊と読んでいる人のようなことを指す。週刊誌、月刊誌は言うに及ばず、隔週誌、増刊誌ももちろんチェック。青少年誌だけでなく少女漫画もあまねく網羅、というのが正しい「漫画読み」のあり方だろう。漫画雑誌については、ぜひWikipedia をご覧になってその数の多さに驚いてほしい*1

また、私は「漫画好き」でもない。私の中で「漫画好き」というのは、もう漫画という体裁であればどんなものでも好きと言える人のことで、残念ながら私はそんなことは言えない。つまらない漫画やくだらない漫画に対しては「つまらねー、くだらねー、こんなの読んでいたら時間の無駄ー」とひと通り文句を垂れてから読むのをやめる。世の中、漫画以外にも面白いのはたくさんあるからね。

それを踏まえてなお、どんな漫画を読んできたのかということは、そのまま私の「漫画の基礎」を意味し、私がどんな漫画について語れるか、そして、語れないのかをそのまま意味する。

ま、ちょこちょこと書いていくだけなので、体系的なものを目指しているわけではないし、最終的に自分で「ああ、たしかにこんなときにこんなのを読んでいたっけなあ」と回顧しちょっと懐かしむ程度を目標にしようかと思う。もし同年代の方ぐらいで「そうそう。こんな漫画があったよね」くらいの共感があれば儲けものと考えている。

最後に。手元にない本を語ることが多くなるので、毎度のことながら記述には正確性が欠けることになるので、まあ参考程度にお読みください。





横山三国志


前置きが長くなったが、第一回目は横山光輝三国志』。

これはたしか小学三年のとき、自分のお小遣いで初めて買った漫画だったように思う。友達の家か図書館だか忘れていたが一巻と二巻を読んでいて、これは面白そうだと思い、買うことを決意した。

初期の頃は劉備が桃園の誓いなどという私としてはまったく不必要に感じる描写があり、それから黄巾の乱の鎮圧とかをやっていて、二巻まではトロい印象があった。子どものことだからお小遣いがふんだんにあるというわけでもなく、既読していた一巻、二巻を買うのは少しもったいない感じがした。

と、考えれば通常は三巻から買うのだが、そこは小学三年生、表紙の一番かっこいいものを選ぶという暴挙に出た。そこで選ばれたのが忘れもしない三十八巻。






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いま見てみると一番かっこいい表紙だったかは疑問。




その後に三十九巻に行くと思ったら、次も表紙のかっこいいものを、というように買っていったので、かなり歯抜けになってしまい、そのうち吉川英治版の三国志を読み始め、結局横山三国志はすべてを読み終えることはなかった。小説を読んでしまったらちょっと漫画の方では迫力不足の印象を得たし、六十冊って子どもが買い揃えられる量でないしね。





漫画家としての横山光輝


横山光輝という漫画家は、私の中では『三国志』や『水滸伝』の人というイメージがあって、この他にも『史記』や『項羽と劉邦』など(前者はちょっと読んだことがあり、後者は未読)も書いているが、もともとは『鉄人28号』『魔法使いサリー』『バビル2世*2』などで有名な漫画界の巨匠。といってもわれわれの世代では既に過去の大御所という印象があって、せいぜい『三国志』を読んでいるかどうかというところだろう。

私はかなり早い時期にこの絵柄に触れていたので、今でもこの絵を見ると安心するところがある。ネット上ではギャグとして取り上げられることが多いが、漫画的で手塚の流れを汲んだとてもいいタッチだと思う。






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有名な馬超の「むむむ」。




ちなみに、有名な話だが、この「むむむ」についてとても面白い調査をした人がいる。






真相を思い出した!


と、ここまで書いて思い出した。私はこの横山三国志の三十八巻を購入したとき、既に三国志の概要を知っていた。

図書館に、おそらく中国人が書いたと思われる「漫画版三国志演義*3」があり、その本で蜀が滅亡するまでを読んでいたのだった。だから馬超の虎のような兜や、于禁(うきん)が猫のような兜をかぶっているのは、すべてその「漫画版演義」が元ネタになっているということを朧気ながら知っていたのだった。






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これが于禁







初回なのでまとめ


とまあ、こんな感じで力を入れずにぼちぼち記事を書いていこうかなと思っている。書いているうちに色々と思いだすことがあって、書いている私が一番面白く感じている。



三国志 全60巻完結セット (希望コミックス)

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*1:ちなみに、最近創刊された「[http://www.heros-web.com/:title=月刊ヒーローズ]」に連載されている[http://www.heros-web.com/works/herocom.html:title=島本和彦の漫画]が例によって面白く、立ち読みでげらげら笑わせてもらっている。


*2:余談であるが、『ジョジョの奇妙な冒険』の空条承太郎が学生服を着ているのはこの『バビル2世』へのオマージュらしい。


*3:ちょっとアマゾンで探してみたが見つからなかった。漫画といってもかなり堅い絵柄で、普通のコマ割りされた漫画ではない。



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