とはいえ、わからないでもない

カテゴリ: NPO

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第1部 ミッションとリーダーシップ




第3章 目標の設定 | フランシス・ヘッセルバイン*1との対話

ヘッセルバインが、そのキャリアの中で最も印象に残ったプログラムは、ガールスカウトに5歳児を導入する、というもの。ガールスカウトは、それまで6〜17歳を対象としており、5歳児は含まれていなかった。それをいかにして導入したのか。以下にそのポイントを(私が理解できた限り)示す。




  • 全米にある各協議会(335)のうち、(5歳児をガールスカウトに引き入れることについて)好反応を示したのは2割ほど(70)だったが、その70の協議会と一緒にプログラムを立ち上げた。

  • ガールスカウトの規模は、ボランティアの数によって左右されるので、ボランティアを重要なマーケットと考えるべきである。

  • ボランティアの意識を維持するものは、主に以下の2つ。これらのために最高の学習機会を与えることが必要。

    1. 報酬ではなく仕事そのものに対する喜び(=プロ意識)

    2. きちんと表現された感謝の気持ち(たとえば「ありがとう」の言葉)


  • 人口統計によれば、今後(当時と比較して)、アメリカの人口は1/3がマイノリティになるということがわかり、マイノリティのガールスカウト団員を増加させた。

  • ガールスカウトにとって、その顧客は、女の子たちとボランティアたち。

  • 新しいプログラムを導入するには、丁寧にマーケティングプランを作成することと、また、その活動を継続して評価していく必要がある。





感想


一般的な企業は「利益を追求する」という大きな目的のもとに活動しているため、いろいろな物事の判断基準として、「それはお金になるのか?」と問うことができる。

しかし、NPO においてはミッションがその判断基準となり、ときとしてそれは、明確な判断材料にならないこともあるだろう。

そんなときに問われるのは、やっぱりリーダーの資質ということになるのだろう。



ちなみに、ガールスカウト(アメリカ)のサイトには、そのミッションとして、以下の文章が掲げられていた。




Girl Scouting builds girls of courage, confidence, and character, who make the world a better place.

(下線部: 引用者)




「ガールスカウトは、世界をより良い場所へと変える、勇気と自信と個性を兼ね備えた女性を育てます」ということになろうか。

ところで、上記文章は以下の歌詞を私に思い起こさせる。




Heal the world

Make it a better place

For you and for me

And the entire human race




これはマイケル・ジャクソンの"Heal the World"の歌詞。





*1:1976年〜1990年の全米ガールスカウト協議会専務理事で、その後ドラッカーNPO 財団専務理事。



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第1部 ミッションとリーダーシップ




第2章 イノベーションとリーダーシップ



  • イノベーションについて

    • 組織が成功しているときに危機は訪れるが、*1そのときこそイノベーションのチャンスである。

    • 変化は脅威ではなく、機会である。

    • 組織が新しい事業に着手したときは、その事業を、それまでの事業とは独立させなければならない。*2

    • イノベーションを成功させるのに必要なのは、変化を待つことではなく、変化に対して準備をしておくこと。つまり戦略が必要であり、戦略を立てられるリーダーが必要である。


  • リーダーシップについて

    • リーダーを選定するときに考慮するべき事項

      1. なにをしてきた人なのか

      2. その人の強みはなにか(いま組織のために行うべき重要なこととその「強み」が合致するか)

      3. その人は真摯であるか


    • リーダーの役割

      1. その役割はリーダー自身と適合しなければならない

      2. その役割はなされるべき課題と適合しなければならない

      3. その役割は寄せられる期待と適合しなければならない


    • リーダーに必要な能力

      1. 他人の言うことに対する姿勢(オープンであること)

      2. 自らの考えを理解してもらう意欲

      3. 言い訳をしない

      4. 自身より仕事を高いところに置く


    • リーダーの持つべきバランス感覚

      • 個別的な問題と全体的な問題

      • 短期的な問題と長期的な問題

      • 集中と多様化((多様な視点を確保しておかなければならない。)

      • 慎重さと迅速さ*3


    • リーダーがしてはならないこと

      • 人に相談せずに(理解してもらっていると誤解して)意思決定を行う

      • 組織内の個性を恐れる(従順な者ばかりを周りに置こうとする)

      • 後継者を自分ひとりで選ぶ(どうしても自分に似た人物を選んでしまう)

      • 手柄を独り占めし、部下のことを悪く言う







感想


以下のような言葉が印象に残っている。




リーダー用の性格や資質というものはない。もちろん、ある者が他の者よりもリーダーとして優れていることはある。しかしほとんどの場合、それは教わることはできなくても身につけることはできるというスキルの問題にすぎない。(中略)われわれのほとんどはリーダーのスキルを身につけることができる。

(p.21)






優れたリーダーは、「私」とはいわない。意識していわないのではない。「私」を考えないのである。いつも「われわれ」と考える。チームを考える。

(p.21)




全体的に、フェアであり、冷静な目を持ちながらも、なおかつ情熱的でアグレッシブでなければならない、というのが優れたリーダーの資質だと言っているように感じられた。

そんな人間がいるのか、という話になってしまいそうだが、ドラッカーいわく、リーダーは生まれながらの天分ではなく、自ら作り上げるものだということで、これは本人の努力次第ということになろう。

(営利組織ではなく)非営利組織ならではのリーダーの困難さということで、ドラッカーは




絶対的な判断基準はない。非営利組織では、多様な基準を考え、それらの組み合わせとバランスを考えなければならない。

(p.19)




と書いており、通常の組織よりも並はずれて優れた能力を持ったリーダーが必要だと結論づけている。

優れたリーダーが現れるには、あるいは、優れたリーダーであろうと志すには、立派なミッションが必要なのではないか、という気がする。きちんとしたミッションがあればこそ、優れた人は集まり、もしくは、優れた人物になろうと努力するのではないか。

それがただの美辞麗句だったり妄想虚言の類であれば、いづれメッキは剥がれて人は離れていき、やがてリーダーですら、自身とその行動に自信が持てなくなってしまうのであろう。ますます、ミッション(つまり組織の存在理由)が重要だと感じた。





*1:失敗しているときは、誰もが一所懸命に働かなければならないことを知っている。


*2:しかしその一方で、関連性を失わせないようにしなくてはならない。


*3:非営利組織では慎重になりすぎて失敗することが多い。



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ドラッカー初挑戦


噂のP.F.ドラッカー*1の著作を読んでみることにした。タイトルは『非営利組織の経営』、原題は、"Managing the NonProfit Organization"。

本記事(またはこれにつづく記事)は読みながら書く予定であり、誤解や重複、あるいはその他の不必要な記述が出てくることになるだろうが、それも含めて楽しんでいきたい。





第1部 ミッションとリーダーシップ




第1章 ミッション



  • リーダーの行うべきこと

    1. 自らの組織のミッションを考え抜き、定義すること

    2. ミッションを具体化すること

      • 時間の経過につれ、目標の再設定や、あるいは、不要なことの廃止を行う



  • ミッションに不可欠な三要素

    1. 機会(=ニーズ)を知ること

    2. 組織の能力(人的資源、資金等)の卓越性を知ること

    3. 行動の価値を心底信じていること






感想


とりあえず一章づつ読み進めていくことにする。なかなか時間も取れないし。

読んでみてすぐに感じたのは、かなり抽象的(言い換えれば総論的?)な議論が展開されそうだということ。明日からでも役に立つ、というよりは、「このような考え方を持つのが望ましい」というふうに心構えとして読むのが適切なのかもしれない。

ミッションを掲げる組織はそのミッションの価値を心底信じていなければならない、というのはNPO だからこその話であろう。

NPO に参加する人たちのほとんどは無給やそれに近い状態の報酬しか得られないわけだが、彼ら/彼女らに対して、報酬の代わりとなるべき「新しい価値」を提供できなければならない。それを創出するのが、ミッションあるいはミッションを達成するために行われる活動なわけだ。

もし「新しい価値」の提供ができなければ、ミッションどころか、組織自体が無価値だということに等しく、だからこそ、NPO を立ち上げる際にはまず多くの人間に共感してもらえるようなミッションを(形式上ではなく)設定しなければならない、ということになろう。




ドラッカー名著集 4 非営利組織の経営

ドラッカー名著集 4 非営利組織の経営




*1:今年、日本で一番売れた本は『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』とのこと。



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