とはいえ、わからないでもない

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このあいだテレビを観ていたら、こんな話があった。

高齢の方なんだけれど、テニスをやったりジョギングをしたり、とたいそう健康的で、周りからも「お元気ねえ」と羨ましがられていた。
ところが人というものはわからないもので、三年前、原因不明の病気でばたんと倒れた。それから動くこともできない。
医者に見せてもどこが悪いのか要領を得ない。食も細くなってどんどん痩せていく。
「ああ、これが寿命というものか」と途方に暮れていた、そんなときに出会ったのが……この青汁エキス
なめとんのか。真剣に見とった自分が悔しいわ。

以上はすべて、僕の好きな笑福亭福笑のネタ。「青汁エキス」が「しじみエキス」のパターンもある。 

上記記事に触発され、「かっトラ」(勝手にトラックバックの略)します。
 
僕が大っ嫌いなのは、携帯電話三社。ハッキリ言ってセンスの悪さを競い合っているような気がする。
ソフトバンクは、そもそもあのマンネリ感たっぷりの家族設定が大っ嫌い。上戸彩って僕のなかでは顔も見たくないほどの最悪タレントのひとりなんだけれど(理由は演技が死ぬほどヘタ)、彼女がトップタレント然として振舞っているのもセンスの悪さの象徴だし、半沢直樹のキャストをそのまま起用したあのやり方を見て、ユーザーはソフトバンクの携帯電話を持っていることじたいが恥ずかしくならないのかな、と思った。僕はイヤだね(そもそも携帯電話を持っていないけれど)。
auはクソつまらない桃太郎・金太郎・浦島太郎シリーズ。言っちゃ悪いんだけど、彼らは、俳優として最終的にトップクラスに行けないだろう、というところで共通している気がするよ。CMの内容もちっとも笑えない。
そしてドコモの、配役への投資額に反比例する空回り感の異常さ(ドコモ2.0のときにさんざん学んだはずでは?)。ただし、渡辺謙、松坂桃李らを起用したあのシリーズもいつのまにか影を潜めていて(僕の気のせいか)、ほとんどの日本人にはピンとこないワン・ダイレクションのメンバーがふざけているだけのCMがメインのような気もするが(あれもメンバーのひとりが脱退したとかうんぬんで微妙な問題になっているのかも)、あそこらへんの、外タレに大金突っ込んで大ゴケした感じをたのしむという意味では、悪くはない。ここらへんのセンスの悪さって、大会社にありがち(後述のトヨタも)。
そしてトヨタのあのオールスターCMがもう、日本って本当にカッコ悪い国なんだなあ、と痛感させてくれるという意味では貴重。
もうなんでもかんでもあの世界に登場させてしまえっていう、成金趣味的なやり方は、とうてい高級品、嗜好品を買わせるブランドのそれではないよね。
高級車ライン(でもないのか?)のほうでも、ゴリラが登場したりバットマンが登場したり(本木雅弘のもあったな)、とやたらとおしゃべりな気がする。売るのに必死だ。よけいダサいのよ、そんなんじゃ。高級雑誌のブランド広告なんかでも、もっと寡黙でクールなイメージで売っているのにね。
 
がしかし、いま僕がCM界でもっとも気になっているのは、長年キリン「のどごし生」に貢献してきたというのに、CMタレントとしては甚だ疑問符がつきまとう「ぽっと出」の半沢直樹、もとい、堺雅人にその役を奪われてしまったぐっさんこと山口智充が、ライバル会社のクリアアサヒのCMに出演していること。
広告界の、「右へ倣え」状態の堺雅人・西島秀俊の多用については、断固反対なので(本人たちに対してはおめでとう以外の感情はない)、ここはぐっさんを応援してアサヒのビールを……いや、飲まない。そもそもビール飲まないや。
しかしビール(ノンアルコールも含む)のCMは、ちっともうまそうに見えないんだよなあ。「自由っておいしいぞぉ」などのいちいちのセリフが癇に障るんだよ。 

そういえば、テレビCMを見て買おうと思ったことは、これまで一度もありませんでした。 

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きょう、ラジオでワコールの「まったく同じナレーション」というCM が流れていて、びっくりした。

男性ナレーション
ワコールからすべての女性のみなさまに、ブラジャーのお知らせです。
女性ナレーション
右にずれたり、左にはみ出たりしていませんか? 守ってあげたい、ふたつのデリケートなふくらみ。大きいか、小さいかなんて関係ない! あなたの大切な場所を、手で優しく包み込むようにホールドします。
男性ナレーション
つづいて、すべての男性のみなさまに、まったく同じナレーションで、メンズパンツのお知らせです。
女性ナレーション
右にずれたり、左にはみ出たりしていませんか? 守ってあげたい、ふたつのデリケートなふくらみ。大きいか、小さいかなんて関係ない! あなたの大切な場所を、手で優しく包み込むようにホールドします。
男性ナレーション
すべての製品に、同じだけの思いやりを。ワコールです。

「すげえな」とつぶやいてしまった。これが即アウトとならないのは、ワコールという女性のイメージが強い会社だからか。この企画が通ったことも驚きだけど、グランプリを授賞した「ACC CMフェスティバル」の度量も大きい。
下で聴ける。

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つい最近、2ちゃんのまとめサイトで「今年最高にうざいCM」というテーマで一番に紹介されていたのがこれ。






「ムム、みたいな」




これ、ボロクソに批判されているみたいだけど、私は気に入ってしまって気に入ってしまって、もう20回くらい繰り返して観ている。

きもいだとかうざいだとか、そういう反応が、このCF をつくった人たちにとってなによりのご馳走なのではないかと思う。私が見るに、このCF の意図は、どちらかというとそういうマイナスの気分を喚起することにスポットを当てている気がする*1。そういう意味では成功していると思う。

反対に、私がかつて批判した下のCF は、ピントがずれている(視聴者に共感してもらいたいという意図であるのに、そのやり方を間違っている)という点で、失敗している。







テレビCF なんて、単位時間あたりにしたら、下手なバラエティ番組より金がかかっているはず。金をかければいいってもんでもないが、尺が長けりゃいいってもんでもない。私がバラエティ番組を観ないのは、編集されてもなお消えない面白さの密度の薄さが嫌いだからだ。

そんなものよりは、テレビCF を見た方がよっぽどましだ。一番ましなのは、テレビなんてつけないことかもしれないけどね。

ちょっと脱線。

CM といえば、90年代後半あたりに私がどこかで見聞きした話で真偽のほどはわからないのだが、当時は資生堂とSONY がかける広告宣伝費は他社に較べて段違いの多いということを聞いた。資生堂の広告部の新入社員は「資生堂書体」の練習をさせられるという、それ以前に耳にしていた話と相まって、資生堂に対する理由もない憧憬みたいなものを私は持っていた。




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ネットで見つけた資生堂書体




資生堂のロゴも特徴的。




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だから私は銀座をぶらぶらと歩いていて(迷子になっていた、とも言う)、パッとあのロオジエのビルにでくわしたとき、その「S」の字を見て一発で「あ、資生堂関係のホテルだな」と思った。実際にはホテルじゃなくてレストランだったわけだが。




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これもネットで見つけた画像。ロオジエはいま休業中みたいですね。




だが、その資生堂にも、「TSUBAKI」の「全部盛りCF」を観たときにずいぶんと失望させられた。「こんなに豪華なキャストで!?」みたいな驚きが当時はあったのだろうが、私からすれば「こんなにピントのボケたCF を資生堂が作るのか?」と驚いたものだ。主役級のモデルや女優がわんさかと出ることは、豪華とも言えるが、フォーカスを絞りきれていないということと同義だし、大勢出演していたわりには、数年経ったいまとなれば誰が出ていたかも記憶に残っていないし、なにより費用対効果が優れているとは言いがたい。

それでも、このあいだまでやっていたABC ラジオ『武田和歌子のピタっと』の中でやっていた資生堂スポンサーのコーナーも、内容はちっとも面白くなかったのだがCM は面白かったので耳を澄ませていた。資生堂のCM なわけだから、当然メイクがテーマなのだが、男の私が聴いても「ふむふむ、メガネに似合うメイクってのがあるのね」となってしまうほど、うまい作りになっている。きっと洒落ているんだな。

脱線終わり。

で、私が一番腹の立つCF として思いだすのが以下でございますよ。







アップルのCM って、私からすると、「アップルをどうぞ嫌ってください」っていうものばかりな気がする。アップルが作り出そうとしている「アップルユーザーにはわかるアップルのよさ」のイメージがどうにも排他的な印象を与えてしまう。そう、iPhone ならね。

一方、好きなCF ってなにかということ、たまたま今日見つけたT-Mobile というところのもの。







それとこれも同社のものらしい。







冗談ではなく、このCF が描いているような世界を、私はユートピアだと信じている。こういう世界を作るためにわれわれは生きているんじゃないのか?



*1:もちろん、最終的には商品への注意の喚起を意図している。



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ラジオで聴いた「二階堂」のCM にあった言葉。




どうかタイムマシーンが発明されませんように。目を瞑るだけで十分です。





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ライオンの「タイムスリップ家族」という企業CF を見てほしい(左記URL から見られる)。

このアイデア自体は、ネット上でいろいろと見たことがあって目新しいものではないのだが、ラストにちょっと「おお」となる。



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ヘパリーゼ」という栄養ドリンクのテレビCF を初めて観たのだが、ここで踊っているサラリーマンをどこかで観たことがあると思って、ネットで調べてみた。

井手茂太(いで・しげひろ)という人らしい。イデ? もうちょっと調べると、「イデビアン・クルー」の主宰だということが判明。ああ、あれか!

数年前、NHK の「芸術劇場」でコンテンポラリーダンスが放映されていて、そのうちのひとつが彼ら「イデビアン・クルー」の『排気口』だったことを思い出した。

コンテンポラリーダンスというものを初めて観た私は、一言もしゃべらないという表現にいささかたじろぐも、すぐにその魅力に惹きこまれた*1

言語化されていないので、その面白さを説明するのが難しい。どころか、私にはどのようなダンスや演出がなされていたのかすら記憶が覚束ない*2

彼らが踊っているのを鑑賞している時間が大切な体験なのだろうと思う。きっと、その時間にだけ「なにか」が表現者と鑑賞者との間に流れているのだろうと思う。

「『なにか』ってなに?」って? うーん、一度体験するとわかるのだろうけど、私にはその能力がないのでうまく言葉にできない。

とにかく一度観ることが重要なのだと思う。それは舞台芸術すべてに言えることだと思うけど。



さて、コンテンポラリーダンス、舞台と来ると、「チェルフィッチュ」の話になりそうなものだけど、残念ながら私は『三月の5日間』しか観ていないし、大江健三郎保坂和志の絶賛にはあえて目を向けないようにしているので、その後はどうなったかわからない。

まあ、小説版の『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(買って所蔵はしている)を読了した際にでも、その話をするとでもしましょうか。



わたしたちに許された特別な時間の終わり (新潮文庫)

わたしたちに許された特別な時間の終わり (新潮文庫)



*1:と言っても、同時に放映された[http://batik.jp/:title=BATIK] の『SHOKU』というコンテンポラリーダンスには特に感銘を受けなかった。出演し踊っていた女優さんたちはめちゃくちゃ美人さん揃いでそのことにはひどく驚いたが。え? 「女を外見だけで判断するんじゃない!」って? いや、ほんとその通りなんですけど。


*2:ただし、ラストの演出がめちゃくちゃ恰好よかったことだけは覚えている。深夜、「ウォーッ!」と思わず声を上げたことを覚えている。



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ナレーションの台詞がいい。




あの日、手を振ってくれてありがとう

笑ってくれてありがとう

ひとつになってくれてありがとう




いつか、復興した東北でこんなCF を作ってほしい。



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